広告を増やしても利益が増えない。デジタルマーケティング戦略を5ステップで
年商4億円の食品ECから「広告費を増やしているのに、利益が増えない」と相談を受けました。5つのプロセスで整理すると、論点は広告の費用対効果から、1人のお客様が生涯で生む利益へ移っていきます。
「広告費を増やしているのに、利益が増えないんです」
食品を自社で企画して直接販売しているECの経営者から、こんな相談をいただきました。年商は約4億円。広告費を月500万円から700万円に増やしたところ、売上はほとんど変わりませんでした。担当者からは「1件の獲得にかかる費用が悪化した」という報告が上がっていました。
獲得費用が上がったのは事実です。ただ、そこだけを見ていると、打てる手は「広告を止める」か「もっと出す」かの二択になります。戦略づくりの5つのプロセスに沿って整理すると、見るべき数字が変わっていきます。
STEP 01:ビジョン・目的・目標
目的を「広告経由の売上を増やす」から、「1人のお客様が生涯で生む利益を高めながら、営業利益を増やす」へ置き直しました。新しいお客様を集めることと、既に買ってくださった方に続けて買っていただくこと。この2つを別々ではなく、ひとつの戦略として扱います。
STEP 02:現状分析
広告の入り口ごとの獲得費用だけでなく、最初に買われた商品、2回目を買ってくださった割合、次に買うまでの間隔、粗利、離れていく人の数を並べました。見えてきたのは、新しく来てくださった方の一部は、最初の1回だけで利益がほとんど残っていないことです。安い商品から入った方ほど、2回目につながっていませんでした。
STEP 03:戦略の方針策定・確定
広告を一律に増やすのをやめました。続けて買ってくださる可能性の高い層に絞って投資します。あわせて、最初に買っていただく商品を「入り口の商品」として設計し直しました。単体で利益が出るかどうかではなく、2回目につながるかどうかで選びます。2回目までのやり取りも作り直しました。
STEP 04:実行計画の策定
広告の見せ方を、お客様の困りごとごとに分けました。そこから続く紹介ページ、メール、メッセージの内容も、同じ困りごとに合わせてつなげています。最初の購入から7日、21日、45日で、それぞれ違う内容をお送りする形にしました。買った直後と、1か月後では、知りたいことが違うためです。
STEP 05:実行方法・振り返り方法
見るのは、1件の獲得にかかった費用、2回目を買ってくださった割合、90日間で生まれた売上と粗利、そして広告費を回収するまでの期間です。これを毎週と毎月で確認します。**獲得費用が上がっても、そのお客様が生む利益が上回っていれば投資を続けます。**逆であれば、配分を変えます。
「広告運用」に縮めると、数字の最適化で終わる
広告の成果が落ちたとき、多くの場合は広告の中で解決しようとします。入札を調整し、見せ方を変え、媒体を入れ替える。どれも必要な作業ですが、それだけでは「獲得費用を下げる競争」から出られません。
利益が増えないときに見るべきなのは、広告の外側です。誰を集めているのか。最初に何を買っていただいているのか。その方は2回目に進んでいるのか。この3つがつながってはじめて、広告への投資が事業の利益に変わります。
出発点は「広告費を増やしているのに利益が増えない」でした。5つのプロセスを通ると、問題は広告の巧拙ではなく、集めたあとの設計にあったと分かります。
実際の戦略策定では、ここでご紹介した内容からさらに深く掘り下げ、具体的な論点や打ち手まで整理していきます。今回は、全体の流れが分かるところまでをご紹介しました。
対話を重ねるうちに、広告を増やす前に決めておくべきことが、はっきりしてきました。
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