データはあるのに会議で使えない。データ活用戦略を5ステップで整理してみた
15店舗の小売チェーンから「データはたくさんあるのに、経営会議で使えていない」と相談を受けました。5つのプロセスで整理すると、論点は何が見えるかから、見えた結果を誰が何に変えるかへ移っていきます。
「データはたくさんあるんですが、経営会議で使えていません」
小売チェーンの経営企画の方から、こんな相談をいただきました。15店舗を運営していて、レジの記録、ネット通販、会員、広告と、データは豊富にあります。それでも会議では、担当者が毎回作るExcelの資料を見ながら、感覚で議論する状態が続いていました。
データが足りないわけではありません。むしろ多すぎて、どれを見ればいいのかが決まっていませんでした。戦略づくりの5つのプロセスに沿って整理すると、作るべきものが変わっていきます。
STEP 01:ビジョン・目的・目標
目的を「分析の仕組みを導入する」から、「店舗ごとの異変を翌週までに見つけ、改善の行動につなげる」へ置き直しました。道具を入れることは手段です。目的を「見つけて動くまで」に置くと、必要なのは大量の画面ではなく、気づける仕組みだと分かります。
STEP 02:現状分析
会議で何を決めているのかを、一つずつ書き出しました。必要だったのは大量のデータではありません。売上が落ちたときに、その原因を「来店したお客様の数」「1人あたりの購入額」「買っていただけた割合」「何を買われたか」に分解できる情報でした。分解できれば、どこに手を打つかが決まります。分解できないから、感覚の議論になっていました。
STEP 03:戦略の方針策定・確定
会議で使う指標を絞りました。そのうえで、最終的に追う数字から、それを動かす要因、現場が取る行動までの因果関係を一本につないでいます。**画面は「見るため」ではなく「動くため」に作る。**この方針を先に決めたことで、作らない画面がはっきりしました。
STEP 04:実行計画の策定
指標の定義をそろえ、データを一か所に集め、画面を作り、異変が出たときに知らせる仕組みを置き、店舗の行動につなげ、毎週振り返る。この流れを組みました。指標ごとに、悪化したときに誰が何をするのかまで決めています。ここを決めないと、数字が赤くなっても誰も動きません。
STEP 05:実行方法・振り返り方法
見るのは、決めるまでにかかった時間、生まれた改善策の数、そのうち実行された割合、そして指標がどれだけ良くなったかです。**画面が何回見られたかでは評価しません。**見られていても、決定が変わっていなければ、目的を果たしていないためです。
見えることと、変わることは別のこと
データ活用の相談では、何が見えるようになるかに議論が集まります。どの数字をどの粒度で出せるか、どの画面を作るか。作れば作るほど、見られる情報は増えます。
けれども増えた情報が、判断を変えるとは限りません。決めるべきなのは、見えた結果として、誰が、何を変えるのかです。行動が決まっていない数字は、会議の資料が厚くなるだけで終わります。
出発点は「データはあるのに使えていない」でした。5つのプロセスを通ると、足りないのはデータでも道具でもないと分かります。この数字がこうなったら、こう動く。その取り決めでした。
実際の戦略策定では、ここでご紹介した内容からさらに深く掘り下げ、具体的な論点や打ち手まで整理していきます。今回は、全体の流れが分かるところまでをご紹介しました。
対話を重ねるうちに、画面を作る前に決めておくべきことが、はっきりしてきました。
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