戦略ファシリテーター
事例で整理約3分

人が増えたら決まらなくなった。組織戦略を5ステップで整理してみた

50名から140名に増えたSaaS企業から「何を決めるにも時間がかかる」と相談を受けました。5つのプロセスで整理すると、論点は組織図をどう変えるかから、誰が何をどの基準で決めるかへ移っていきます。

「社員が増えてから、何を決めるにも時間がかかるんです」

SaaSを提供する会社の経営者から、こんな相談をいただきました。社員は50名から140名へ増えています。会議が増え、承認する人も増え、「これは誰が決めるのか」が分からない場面が出ていました。

人数が増えれば、意思疎通に手間がかかるのは自然です。ただ、原因を人数に置くと、打てる手は「組織図を作り替える」しかなくなります。戦略づくりの5つのプロセスに沿って整理すると、見るべき場所が変わっていきます。

STEP 01:ビジョン・目的・目標

目標を「組織図を変える」から、「お客様への対応と製品に関する判断の速さを落とさずに、140名の体制を回す」へ置き直しました。組織図は結果であって、目的ではありません。何を速く決められる状態にしたいのかを先に決めると、変えるべき場所も絞られます。

STEP 02:現状分析

実際に時間のかかった決定を、案件ごとに追いかけました。分かったのは、遅れの原因が人数ではないことです。**誰にどこまでの権限があるのかが曖昧で、部門をまたぐ承認で止まっていました。**同じ内容が複数の会議に出され、そのたびに持ち帰りになる。人数ではなく、決め方の設計が追いついていませんでした。

STEP 03:戦略の方針策定・確定

役職を増やすのをやめました。代わりに、決める権限をはっきりさせます。ひとつの決定について、責任を持つ人、承認する人、相談する相手、結果を知らせる相手を整理し、**現場で決められる範囲を広げました。**階層を足すと承認は増えます。増やすのではなく、線を引き直す方向にしています。

STEP 04:実行計画の策定

社内で起きる主な決定を20種類に分け、それぞれ誰が決めるのかを一覧にしました。あわせて会議を棚卸しし、同じ議題を扱う会議を廃止しています。部門長の役割も変えました。**一件ずつ承認する立場から、判断の基準そのものを設計する立場へ。**基準がそろえば、現場が自分で決められます。

STEP 05:実行方法・振り返り方法

見るのは、決定にかかった日数、会議に使われた時間、いったん決まったのに差し戻された割合、そして「誰が決めるのか分かっているか」を尋ねた社員への調査です。これらを四半期ごとに確認し、権限の設計を見直します。**一度決めて終わりにしません。**人数も事業も変われば、適切な線の位置も変わります。

組織戦略は「人の配置」だけの話ではない

決まらない、動かないという相談では、組織図から議論が始まります。部門を分ける、統合する、階層を足す。図を描くと変わった気がしますが、誰が何を決めるのかが曖昧なままだと、遅さは残ります。

決めるべきなのは、誰が、何を、どの基準で決めるのか。この3つです。基準まで決めておくと、決める人が変わっても判断がぶれません。人数が増えても、決定の速さが落ちにくくなります。

出発点は「社員が増えてから決まらない」でした。5つのプロセスを通ると、増えたことが原因ではないと分かります。50名のときに通用していた決め方を、そのまま140名で使っていたことでした。

実際の戦略策定では、ここでご紹介した内容からさらに深く掘り下げ、具体的な論点や打ち手まで整理していきます。今回は、全体の流れが分かるところまでをご紹介しました。

対話を重ねるうちに、組織図を描く前に決めておくべきことが、はっきりしてきました。

書き手:株式会社イボルバパートナーズ(戦略コンサルティング)会社概要
戦略ファシリテーター

戦略コンサルの思考プロセスを、365日24時間、AIで。経営から、営業・DX・人事・組織まで。現状分析・戦略方針・KPI・実行計画・振り返りまで、ひと続きで。