営業を増やさずに受注を伸ばす。営業戦略を5ステップで整理してみた
法人向け設備会社から「営業を5人くらい増やしたい」と相談を受けました。5つのプロセスで整理すると、論点は人数から、どの案件に時間を使うかへ移っていきます。
「営業を5人くらい増やした方がいいと思うんです」
法人向けの設備会社の経営者から、こんな相談をいただきました。営業は12名。年間で約300件の商談に対応していますが、受注に至るのは18%です。数を増やせば受注も増えるはず、という考えでした。
人を増やせば、対応できる商談は増えます。けれども18%という割合が変わらなければ、増えた分だけ失注も増えます。採用と育成にかかる時間も必要です。戦略づくりの5つのプロセスに沿って整理すると、先に手を入れる場所が見えてきます。
STEP 01:ビジョン・目的・目標
目標を「営業を5人増やす」から、「12名のまま、年間の受注額を30%増やす」へ置き直しました。人数を増やす案を捨てたのではありません。いまの12名で何ができるのかを確かめてから判断する、という順番にしました。増員は、やり方を変えても足りないと分かってから決めます。
STEP 02:現状分析
商談を、受注と失注で分けるだけにしていた状態から、業種、案件の規模、最初の接点、競合の有無、失注の理由、担当者別に分け直しました。見えてきたのは、勝てている案件に共通点があることです。**特定の業種で、かつ最初の相談の時点で困りごとがはっきりしている会社。**ここでの勝率は、全体の18%を大きく上回っていました。
STEP 03:戦略の方針策定・確定
すべての案件を平等に追うのをやめました。勝てる見込み、粗利、取引先としての重要度の3つで、案件に優先順位を付けます。あわせて、最初の商談でやることを変えました。製品の説明ではなく、困りごとを整理することを中心に置きます。困りごとがはっきりしている会社ほど勝てている、という分析をそのまま活かす形です。
STEP 04:実行計画の策定
案件に点数を付ける仕組み、商談の段階の定義、失注の理由を記録する区分、提案書のひな形、商談の振り返りの場。この5つを入れました。管理するのは訪問件数や架電数といった活動量だけではありません。追っている案件の中身も見ます。数をこなしていても、勝てない案件ばかりであれば受注は増えません。
STEP 05:実行方法・振り返り方法
毎週見るのは、問い合わせが商談になる割合、商談が提案に進む割合、提案が受注になる割合、1件あたりの平均の粗利、そして商談から受注までにかかる日数です。受注率だけを追わないようにしています。値引きをすれば受注率は上がりますが、利益の薄い案件が増えるだけになるためです。
営業戦略は「営業を頑張る」ことではない
受注が伸びないとき、多くの場合は人を増やすか、活動量を増やすかで解こうとします。どちらも間違いではありません。ただ、勝てる案件と勝てない案件が混ざったまま量を増やすと、忙しさだけが増えます。
決めるべきなのは、誰を優先するか、どの案件に時間を使うか、どの段階で何をすれば受注に近づくか。この3つです。設計が変われば、同じ人数でも結果は変わります。
出発点は「営業を5人増やしたい」でした。5つのプロセスを通ると、増員の判断はその後でよいと分かります。まず、いまの12名がどこで勝っているのかを知ることからでした。
実際の戦略策定では、ここでご紹介した内容からさらに深く掘り下げ、具体的な論点や打ち手まで整理していきます。今回は、全体の流れが分かるところまでをご紹介しました。
対話を重ねるうちに、人を増やす前に決めておくべきことが、はっきりしてきました。
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