戦略ファシリテーター
事例で整理約3分

新商品は「作りたいもの」から始めない。5ステップで整理してみた

3店舗を展開する美容室から「うちの技術を活かした新メニューを作りたい」と相談を受けました。5つのプロセスで整理すると、論点は何を作るかから、お客様の行動をどう変えたいかへ移っていきます。

「うちの技術を使って、新しいサービスを作りたいんです」

美容室を3店舗運営する方から、こんな相談をいただきました。スタッフの技術には自信があり、できる施術も多い。だから新しいメニューを増やして売上を伸ばしたい、という話でした。

ただ、これまでもメニューを増やすたびに現場が複雑になっていました。スタッフが覚えることは増え、お客様は「結局どれを選べばいいのか」と迷います。戦略づくりの5つのプロセスに沿って整理すると、考える出発点そのものが変わっていきます。

STEP 01:ビジョン・目的・目標

目的を「新メニューを1つ増やす」から、「既存のお客様の来店回数を年4回から5回に増やす」へ置き直しました。作るものではなく、お客様の行動をどう変えたいのかを目的に置いています。この置き方をすると、来店回数が増えないメニューは、売れていても目的を果たしていないと判断できます。

STEP 02:現状分析

お客様アンケートと予約の記録を並べて見ました。離れていく理由は、技術が足りないことではありませんでした。「次に何をすればいいのか分からない」こと。これが最も多い理由です。前回の施術のあと、いつ、何をすればいいのかが伝わっていませんでした。そこでメニューを、技術の名前ではなく、お客様の悩み別に並べ直しています。

STEP 03:戦略の方針策定・確定

技術の名前を売るのをやめました。代わりに「髪の状態と悩み」から「おすすめの施術」へたどれる形に組み替えています。捨てたのは「良い技術があれば選ばれる」という前提です。既存の施術と組み合わせて提案することで、1回あたりの単価と、次の来店の両方を狙います。

STEP 04:実行計画の策定

まず2店舗で4週間試しました。スタッフが説明するときの言い方、予約までの導線、価格、組み合わせて提案できた割合を、店舗でそろえています。売れなかったときに「商品が悪いのか」「説明が悪いのか」「価格が合わないのか」を分けて確かめられるようにするためです。全店に広げるのは、その確認が終わってからにしました。

STEP 05:実行方法・振り返り方法

見るのは、新メニューの売上だけではありません。再来店の割合、組み合わせて提案できた割合、施術にかかる時間、粗利、そしてスタッフの負担です。**売れていても現場の負担が重い商品は、改善の対象にします。**メニューを増やすほど現場が複雑になるという最初の問題を、繰り返さないためです。

作りたいものからではなく、変えたい行動から

新しい商品を考えるとき、多くの場合は「自社に何ができるか」から始まります。できることを並べ、その中から作れそうなものを選ぶ。手順としては自然ですが、この順番だと、お客様が必要としているかどうかが最後まで確かめられません。

逆から考えます。お客様の行動を、どう変えたいのか。来店の回数を増やしたいのか、1回あたりの金額を上げたいのか、離れていく人を減らしたいのか。変えたい行動が決まると、必要な商品はかなり絞られます。

出発点は「技術を活かした新メニューを作りたい」でした。5つのプロセスを通ると、作るべきものは技術の一覧からではなく、お客様の迷いから見つかると分かります。

実際の戦略策定では、ここでご紹介した内容からさらに深く掘り下げ、具体的な論点や打ち手まで整理していきます。今回は、全体の流れが分かるところまでをご紹介しました。

対話を重ねるうちに、作る前に決めておくべきことが、はっきりしてきました。

書き手:株式会社イボルバパートナーズ(戦略コンサルティング)会社概要
戦略ファシリテーター

戦略コンサルの思考プロセスを、365日24時間、AIで。経営から、営業・DX・人事・組織まで。現状分析・戦略方針・KPI・実行計画・振り返りまで、ひと続きで。