戦略の数も、立て方も、会社によって違う。
創業期は実質1つ、1事業2製品なら4つ、3事業5製品なら9つ。架空の家電メーカーを経営・事業・プロダクトの3階層で整理すると、同じ「戦略」でも決めることが違い、それぞれがつながっている必要があると分かります。
創業期は実質1つ。会社が成長すると4つ。さらに事業が増えると9つ。
何の数だと思いますか。
これは、ある架空の家電メーカーで必要な戦略を、経営・事業・プロダクトの3階層で整理した例です。
戦略は、会社の規模や事業・製品の数によって、考えるべき内容が変わります。
前回は、戦略・実行計画・実行で、成果にどれほどの差があるのかを、公表されている調査データから見ました。今回は、そもそも自社にどんな戦略が必要なのかを整理します。
創業期は、実質1つ
例えば、掃除機1製品で創業した家電メーカーがあったとします。
社員は数人。販売しているのは掃除機だけ。掃除機が売れれば事業が成長し、会社も成長します。
そのため、経営戦略・事業戦略・プロダクト戦略を、実質1つの方針として考えることができます。例えば、「一人暮らしの人を主な顧客にして、軽くて収納しやすい掃除機で選ばれる」という戦略です。
もちろん、経営戦略では資金や人材の確保も考えるため、それぞれの役割が完全に同じという意味ではありません。ただ、創業期は会社・事業・製品の成長がほぼ重なっているため、一体的に考えやすいのです。
製品が増えると、4つ
では、この会社が成長したらどうでしょうか。
社員100人。掃除機に加えて、空気清浄機も販売するようになりました。
掃除機を選ぶ顧客は、軽さや使いやすさを重視するかもしれません。一方、空気清浄機を選ぶ顧客は、花粉対策や静音性を重視するかもしれません。
同じ生活家電でも、購入する理由や競合製品は異なります。そこで、製品ごとに戦略を考えます。
この会社を3階層で整理すると、
- 経営戦略:1つ
- 生活家電事業戦略:1つ
- プロダクト戦略:2つ
合計4つです。
事業が増えると、9つ
さらに成長して、社員1,000人規模になったとします。今度は3つの事業と5つの製品があります。
- 生活家電事業:掃除機・空気清浄機
- 調理家電事業:炊飯器・電子レンジ
- 美容家電事業:ドライヤー
同じように整理すると、
- 経営戦略:1つ
- 事業戦略:3つ
- プロダクト戦略:5つ
合計9つになります。
もちろん、社員数によって戦略の数が決まるわけではありません。事業と製品の構成に応じて、戦略を考える単位が変わるということです。
同じ「戦略」でも、決めることが違う
では、この9つの戦略では、何を決めるのでしょうか。
例えば、社長が来期の投資方針を考えているとします。生活家電事業は安定しているものの、競争が激しくなっている。調理家電事業は、今後さらに成長する可能性がある。美容家電事業も伸ばしたいが、新製品の開発にはまとまった投資が必要。
すべての事業に十分なお金と人を使えるわけではありません。そこで、「来期は調理家電事業に重点投資する」と決めたとします。
これが、経営戦略における判断です。
では、調理家電事業は、誰に何を強みに選ばれるのでしょうか。市場や競合を調べた結果、「忙しい共働き家庭に向けて、料理の時間や手間を減らせる家電で選ばれる」と決めました。
これが、事業戦略です。
その事業戦略をもとに、炊飯器では、短時間で炊けて手入れが簡単なことを強みにする。電子レンジでは、冷凍食品を手軽に、むらなく温められることを強みにする。
これが、それぞれのプロダクト戦略です。
つまり、経営戦略は、会社全体でどの事業に投資するか。事業戦略は、誰に、何を強みに選ばれるか。プロダクト戦略は、製品でどんな価値を提供するか。
同じ「戦略」という言葉でも、決めることが違います。
つながっていなければ、成果にならない
さらに重要なのは、それぞれの戦略がつながっていることです。
例えば、会社として調理家電事業に重点投資すると決めているのに、人材戦略では掃除機部門の採用を最優先する。営業戦略では掃除機の販売拡大に人員を集中する。マーケティング戦略では、調理家電事業が狙っていない顧客に広告予算を使う。
もちろん、それぞれに合理的な理由がある場合もあります。しかし、会社全体の戦略とのつながりを考えずに進めていたらどうでしょうか。
各部門は目標を達成しているのに、会社が成長させたい事業に必要な人材や予算が集まらない。これが、部分最適の問題です。
だからこそ、人材・営業・マーケティング・DXなどの戦略も、経営戦略や事業戦略とのつながりを考える必要があります。
何の戦略かで、使う分析も変わる
そして、何の戦略を考えるかによって、必要な分析やフレームワークも変わります。
経営戦略で投資配分を考えるなら、財務分析や事業ポートフォリオ分析。事業戦略で競争の方向性を考えるなら、3C分析やSTP分析。プロダクト戦略で顧客の課題を考えるなら、顧客インタビューやカスタマージャーニー分析。
重要なのは、フレームワークをたくさん知っていることではありません。
何の戦略を立てるために、何を分析し、何を決める必要があるのか。それを理解していることです。
確かめていただきたいこと
経営者・経営陣・事業責任者の方に質問です。
- 自社には、どんな事業やプロダクトがありますか
- それぞれに必要な戦略を整理できていますか
- 各部門の戦略は、会社全体の方向性とつながっていますか
コンサルタントの方にも質問です。
支援先の経営戦略や事業構造を把握していますか。自分の専門分野だけでなく、会社全体の戦略との関係を説明できますか。
創業期は実質1つ。1事業・2製品なら4つ。3事業・5製品なら9つ。重要なのは数そのものではありません。
自社に必要な戦略を見極め、それぞれを会社全体の方向性につなげること。そして、状況が変われば、戦略を見直すことです。
しかし、経営・事業・プロダクト、さらに人材・営業・マーケティング・DXまで、すべての戦略に精通した人材をそろえるのは簡単ではありません。専門家に一つひとつ依頼すれば、時間も費用もかかります。
「戦略ファシリテーター」なら、専門知識や経験がなくても、AIが必要な問いやフレームワークを選び、16種類の戦略立案から実行計画、振り返りまで支援します。
戦略策定セッションの実作業時間は、中央値で約45分。戦略1本あたりの費用は、外部依頼と比べて約1,500分の1という当社試算です。
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補足
「実質1つ→4つ→9つ」は、架空の企業を3階層で整理した例であり、必要な戦略数を決める法則ではありません。
約45分は、社内利用を含む完了セッション37件の実作業時間の中央値です(2026年9月時点)。約1,500分の1は、戦略1本あたり約2,000円と外部依頼約300万円を比較した当社試算で、支援範囲は同一ではありません。
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