戦略・実行計画・実行で、成果にはどれほどの差があるのか。
戦略を立てる会社、実行計画に落とす会社、実際に実行する会社。国内外の公表調査を調べると、売上増加の割合で9.4ポイント、計画の有無で22.9ポイント、進捗を確認しているかで30.3ポイントの差がありました。数字の読み方とあわせて整理します。
国内外で公表されている調査データを調べてみたところ、興味深い数字が見つかりました。
戦略を立てる会社。戦略を実行計画に落とし込む会社。そして、実際に実行する会社。
この違いが、企業の成果にどれくらい関係しているか、考えたことはありますか。
まず、全体の数字から
McKinseyが2015年に公表した企業変革に関する調査では、目標設定から施策の設計、実行、定着まで、24の具体的な行動に取り組むなど、厳格な進め方で変革を完了したケースの成功率は79%でした。
一方、調査全体の平均成功率は26%。その差は53ポイント、約3.0倍です。
同じ調査では、5段階すべてで行動した企業は72%(46ポイント差)、24の行動をすべてとった企業は58%(32ポイント差)でした。やり切るほど成功率が上がる、という並びになっています。
ただし、26%は「何も実施していない企業」の成功率ではなく、調査全体の平均です。また、79%は変革を完了したケースに限った数値で、経営幹部による自己評価に基づいています。
戦略・実行計画・実行をそろえれば、必ず成功率が3倍になるという意味ではありません。それでも、戦略を立てるだけでなく、実行までやり切ることの重要性を考える材料になります。
では、それぞれの段階では、どのような違いがあるのでしょうか。
戦略があるかどうか
まず、戦略の有無です。
東京商工会議所の2024年調査では、売上が増加した中小企業の割合は、
- 経営戦略を策定している:48.7%
- 経営戦略を策定していない:39.3%
9.4ポイントの差がありました。では、戦略を立てれば、それだけで成果が出るのでしょうか。
戦略だけでは、商品は売れない
例えば、従業員50人の食品メーカーが、新しい冷凍惣菜を発売するとします。市場や競合、顧客のニーズを調べ、「忙しい共働き家庭に向けて、短時間で夕食を用意できる冷凍惣菜を提供する」という戦略を立てました。
しかし、これだけでは商品は売れません。
どんなメニューを開発するのか。誰が顧客調査を行うのか。いつまでに商品を完成させるのか。どの販売チャネルを優先するのか。予算はいくらで、売上・利益の目標はいくらなのか。
こうしたことを決めなければ、社員は何を優先すべきか分かりません。そこで必要になるのが、実行計画です。
実行計画があるかどうか
2026年版小規模企業白書の関連資料では、3期前より売上が増えた事業者の割合は、
- 経営計画を策定している:57.9%
- 事業目標はあるが計画は未策定:50.9%
- 目標・計画ともに未策定:35.0%
という結果でした。
計画を策定している事業者と、特に策定していない事業者では22.9ポイントの差です。ただし、この調査の「経営計画」は、担当者や期限まで具体化した実行計画と必ずしも同じではありません。
では、実行計画まで完成すれば、それで十分なのでしょうか。
各部門が目標を達成しても、会社が伸びるとは限らない
例えば、冷凍惣菜事業を強化すると決めたのに、商品開発部門では以前から計画していた別の商品を優先する。営業部門では既存商品の販売拡大を最優先する。マーケティング部門では、新商品が狙っていない顧客に広告を配信する。
それぞれの部門が目標を達成しても、会社が成長させたい事業に人材や予算が集まらなければ、会社全体の成果につながるとは限りません。これが、部分最適の問題です。
海外の別の調査では、
- 正式な戦略実行プロセスがある組織:70%
- 正式な戦略実行プロセスがない組織:27%
の担当者が、自社の業績は優れていると回答しました。
43ポイントの差です。こちらも143名を対象とした自己申告の調査で、実行の有無そのものを直接比較した結果ではありません。
実行したら、それで終わりか
では、戦略を立て、実行計画に落とし込み、実際に行動したら、それで終わりでしょうか。
冷凍惣菜を発売したものの、期待したほど売れなかったとします。営業件数を増やせばよいのでしょうか。広告予算を増やせばよいのでしょうか。
もしかすると、顧客が求めているのは「調理時間の短縮」だけでなく、「子どもが喜んで食べてくれること」なのかもしれません。あるいは、商品の評価は高くても、価格や送料が購入の障害になっているのかもしれません。
原因を確かめずに営業や広告だけを改善しても、問題を解決できない可能性があります。だからこそ、計画と実績を比較し、必要なら戦略そのものを見直すことが重要です。
2026年版小規模企業白書の関連資料では、経営計画を策定した事業者のうち、
- 進捗を確認している:51.2%
- 進捗を確認していない:20.9%
が、計画の効果を「想定どおり以上」と回答しました。
30.3ポイントの差です。これは事業者自身による効果の評価であり、売上や利益が30.3ポイント改善したという意味ではありません。
数字を足し合わせることはできない
ここまでの調査は、対象や成果指標が異なるため、数字を足し合わせて合計効果とすることはできません。戦略や計画が成果を生んだと断定できるわけでもありません。
それでも、調査結果を通して考えられることがあります。
戦略を立てる。実行計画に落とし込む。実際に実行する。結果を確認し、必要なら見直す。
重要なのは、この一連の流れを機能させることではないでしょうか。
確かめていただきたいこと
経営者・経営陣・事業責任者の方。
- 自社の戦略は明確になっていますか
- 誰が何を実行するのか決まっていますか
- 実行した結果を確認し、改善していますか
コンサルタントの方。
支援先の戦略を理解し、実行計画や成果の確認まで考えていますか。戦略資料を作成するだけで終わっていませんか。
戦略は、立てるだけでは成果につながりません。実行計画を作り、行動し、結果を確認して改善する。このPDCAを、いかに速く、無理なく回せるかも重要です。
「戦略ファシリテーター」なら、専門知識や経験がなくても、AIとの対話で戦略立案から実行計画、実行後の振り返りまで進められます。
戦略策定セッションの実作業時間は、中央値で約45分。戦略1本あたりの費用も、外部依頼と比べて約1,500分の1という当社試算です。
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調査に関する補足
本記事は、国内外で公表された調査・研究をもとに作成しています。自己申告や相関データ、原典の図から読み取った参考値を含み、すべての企業に当てはまるとは限りません。
弊社が企業を対象に新たに実施した実証実験ではありませんので、参考情報としてご覧ください。
約45分は、社内利用を含む完了セッション37件の実作業時間の中央値です(2026年9月時点)。約1,500分の1は、戦略1本あたり約2,000円と外部依頼約300万円を比較した当社試算で、支援範囲は同一ではありません。
主な出典
| 発行元 | 資料 |
|---|---|
| McKinsey | Losing from day one: Why even successful transformations fall short |
| 東京商工会議所(2024) | 中小企業の経営課題に関するアンケート |
| 中小企業庁(2026) | 中小企業白書・小規模企業白書関連資料 |
| IBM Cognos Innovation Center(2009) | Making Strategy Execution a Competitive Advantage |
79%・26%・24の行動は、McKinseyのページに収録されている「How to beat the transformation odds」(2015年4月・2014年調査)の節の数値です。
IBM Cognos の数値は、Balanced Scorecard Collaborative が実施した143名への調査を同資料が紹介したものです。
出典の取得日は、McKinsey が2026年10月11日、そのほかが2026年10月13日です。
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