戦略ファシリテーター
事例で整理約3分

品質に自信があっても価格で比較される。ブランディング戦略を5ステップで

創業35年の家具メーカーから「品質には自信があるのに、価格で比較される」と相談を受けました。5つのプロセスで整理すると、論点は品質の高さから、なぜ他社ではなく自社を選ぶのかへ移っていきます。

「うちは品質には自信があります。でも、価格で比較されるんです」

創業35年の家具メーカーの方から、こんな相談をいただきました。作っているものには自信がある。それでも、ネットで同じような見た目の商品と並べられ、値引きをしなければ決まらない状態が続いていました。

「品質が良い」は、どの会社も言います。言葉が同じであれば、比べられる基準は価格しか残りません。戦略づくりの5つのプロセスに沿って整理すると、伝えるべき中身が変わっていきます。

STEP 01:ビジョン・目的・目標

目的を「高く売る」から、「価格の比較だけでは選ばれない状態を作る」へ置き直しました。値上げは結果であって、目的ではありません。比べられる基準が価格しかない限り、いくら品質を説明しても、最後は安いほうが選ばれます。基準そのものを増やすことを目的にしました。

STEP 02:現状分析

お客様のレビュー、競合の商品、購入の理由を並べて読みました。評価されていたのは「品質が良い」だけではありません。**長く使えること、壊れたときに直してもらえること、部屋の寸法を相談できること。**買った後の安心が、繰り返し書かれていました。自社が前に出していた「品質」と、お客様が価値を感じていた点は、少しずれていました。

STEP 03:戦略の方針策定・確定

ブランドの中心に置く価値を、「買った瞬間の満足」から「10年使う前提で選べる家具」へ移しました。この言葉を、商品だけでなく、接客、保証、発信するすべてにそろえます。10年という期間を出すと、価格の比べ方が変わります。今日いくらかではなく、10年でいくらかという見方が生まれます。

STEP 04:実行計画の策定

商品ページを、耐久性、修理、選び方を中心に作り直しました。購入前の相談窓口、手入れの案内、10年保証、実際に使っている方の事例を整えています。値引きで押すのをやめ、なぜその価格なのかを説明する方に力を入れました。保証を先に用意したのは、言葉だけで終わらせないためです。「10年使える」と書くのであれば、10年の約束が要ります。

STEP 05:実行方法・振り返り方法

見るのは、社名や商品名で検索された回数、自社サイトで直接購入された割合、値引きの率、相談を経て購入に至った割合、そして買い直しと紹介の割合です。**認知度が上がったかどうかだけで評価しません。**名前を知られても価格で選ばれているなら、目的は果たせていないためです。

ブランディングはロゴや広告のことではない

ブランドの話になると、ロゴや色、広告の言い回しに議論が集まりがちです。見た目を整えることに意味はありますが、それだけでは比べられる基準は増えません。

決めるべきなのは、なぜ他社ではなく自社なのか、という理由です。そしてその理由を、商品、接客、保証、伝え方まで、お客様が触れるすべてでそろえることです。どこか一つがずれていれば、そこで理由は崩れます。

出発点は「品質には自信があるのに価格で比較される」でした。5つのプロセスを通ると、必要なのは品質をもっと強く言うことではないと分かります。品質を、お客様が判断できる形に言い換えることです。10年という期間は、そのための言葉でした。

実際の戦略策定では、ここでご紹介した内容からさらに深く掘り下げ、具体的な論点や打ち手まで整理していきます。今回は、全体の流れが分かるところまでをご紹介しました。

対話を重ねるうちに、価格を下げる前に決めておくべきことが、はっきりしてきました。

書き手:株式会社イボルバパートナーズ(戦略コンサルティング)会社概要
戦略ファシリテーター

戦略コンサルの思考プロセスを、365日24時間、AIで。経営から、営業・DX・人事・組織まで。現状分析・戦略方針・KPI・実行計画・振り返りまで、ひと続きで。