戦略ファシリテーター

バーンレート 用語

バーンレート

会社が1カ月に手元現金をどれだけ減らしているかを示す指標。 資金の持続月数を測り資金繰りの警報になる数値。

1か月に手元現金をどれだけ減らしているか。手元現金を割ると、あと何か月もつか(ランウェイ)が出る。

バーンレートの式。ネットバーンは月間の現金支出から現金収入を引く。ランウェイは手元現金をネットバーンで割るネットバーン円/月月間の現金支出月間の現金収入ランウェイか月手元現金÷ネットバーングロスバーン=月間の現金支出の合計。会計上の赤字ではなく、実際に減る現金の速度を測る賞与・前払い・納税で振れた単月の数字を、そのまま年間ペースとみなさない

説明

バーンレートとは、会社が1カ月あたりに手元現金をどれだけ「燃やしている(減らしている)」かを表す指標で、単位は円/月です。 2種類あり、グロスバーン(Gross Burn)=月間の現金支出の合計、ネットバーン(Net Burn)=月間の現金支出 − 月間の現金収入 で求めます。 分子は1カ月の現金の流出(人件費・家賃・クラウド費・広告費など実際に払った現金)、収入がある会社はそこから現金の入金を差し引いた純減額がネットバーンです。 バーンレートから資金の持続月数(ランウェイ)= 手元現金(円)÷ ネットバーン(円/月)= あと何カ月で現金が尽きるか が計算でき、赤字・投資フェーズの事業では資金ショートを避けるための最重要の警報値になります。 会計上の赤字(損益)ではなく、実際に減る現金の速度を測る点がポイントです。

適用例

従業員8名・B2B向けSaaS「A社」(まだ赤字の成長フェーズ)を例にとる。 ある月の現金支出は、人件費480万円+オフィス・クラウド・ツール費100万円+広告費120万円=700万円。 よってグロスバーン=700万円/月。 同月の現金収入(月額課金の入金)が300万円あるので、ネットバーン=700万円 − 300万円=400万円/月。 手元現金は4,800万円なので、ランウェイ=4,800万円 ÷ 400万円/月=12カ月。 つまり今のペースだとあと12カ月で現金が尽きる。 収入を無視しグロスバーン700万円で計算すると4,800 ÷ 700 ≒ 6.9カ月となり実力より短く見えるため、収入がある会社の資金判断はネットバーンで見るのが正しい。 打ち手として広告を120万円→60万円へ削減(支出640万円)しつつアップセルで現金収入を300万円→360万円へ増やすと、ネットバーン=640万円 − 360万円=280万円/月、ランウェイ=4,800万円 ÷ 280万円/月 ≒ 17.1カ月へ延び、猶予が12カ月→約17カ月に伸びたことが数字で確認できる。

よくある誤解・つまずき

  • グロスバーンとネットバーンを取り違える誤解。 収入のある会社でグロスバーン(総支出)だけを見ると、実際の現金の純減より速く燃えているように見え、ランウェイを短く悲観しすぎる。 逆に「収入があるから大丈夫」とネットバーンだけ見て支出の膨張(グロスバーン)を放置すると、売上が少し崩れた瞬間にネットバーンが跳ね上がる。 両方を並べて見るのが実務の基本。
  • バーンレート(現金の減少速度)を会計上の赤字(損益)と同じものだと考える誤解。 損益には減価償却など現金が動かない費用や、掛け売上など未入金の収益が混ざるため、赤字額とネットバーンは一致しない。 前受金がある月は入金が先行してバーンが小さく見え、賞与や年払い費用を払う月は損益が変わらなくてもバーンが急増する。 判断は実際の現金の動きで行う。
  • 単月のバーンレートだけを見て一喜一憂する落とし穴。 広告の一括前払い、賞与、税金の納付などで単月のバーンは大きくぶれる。 1カ月の数字を年間ペースと誤解すると資金計画を誤るため、3〜6カ月の平均で均し、季節性や一時的な支出を除いた『平常時のバーン』でランウェイを見積もる。

使うタイミング

主に②現状分析で自社の資金体力(あと何カ月もつか)を把握する場面と、④アクションプラン・⑤振り返りで、採用・広告・開発投資といった支出の打ち手が資金の持続月数(ランウェイ)に与える影響を検証する場面で使う。 とくに赤字の成長フェーズや、まとまった投資・資金調達を検討する事業では、ランウェイが調達や黒字化までの猶予を下回っていないかを常時モニタリングする。 誤用条件は3つ。 第1に、収入のある会社でグロスバーンとネットバーンを区別せずに語ること。 第2に、会計上の赤字額とバーンレート(現金の減少速度)を同一視すること。 第3に、賞与・前払い・納税などで振れた単月の数字をそのまま年間ペースとみなすこと。 安定して黒字が続きネットバーンがマイナス(現金が増えている)事業では、バーンレートよりキャッシュフローや利益指標で管理するほうが適切。

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