戦略ファシリテーター

チャーンレート(解約率) 用語

チャーンレート

一定期間に顧客や売上がどれだけ離脱したかを、離脱数を期間開始時点の母数で割って示す率のこと。

期間内に失った顧客や売上を、期首の母数で割った離脱の割合。期間・母数・ネットかの3点をそろえる。

チャーンレートの式。顧客ベースは解約顧客数を月初の顧客数で割る。売上ベースは失ったMRRを月初MRRで割る月次解約率%当月の解約顧客数÷月初の顧客数×100金額チャーン%失ったMRR当月÷月初のMRR×100平均継続期間≒1÷月次解約率(か月)。解約率が下がるほどLTVが伸びる期間(月次か年次か)・母数(顧客数か売上か)・増額を差し引くネットか、の3点をそろえて定義する

説明

チャーンレート(解約率)は、ある期間内に失った顧客数または売上額を、期間開始時点の母数で割って求める離脱の割合です。 顧客ベースの月次解約率=(当月に解約した顧客数 ÷ 月初の顧客数)×100(単位:%/月)で計算します。 売上ベースは金額チャーン=(当月に失ったMRR ÷ 月初のMRR)×100(同じく%/月)で測り、既存顧客の増額(アップセル・追加ID)を差し引いた「ネットレベニューチャーン=(失ったMRR − 増額したMRR)÷ 月初のMRR」まで見るのが実務の要点です。 継続期間の平均は「1 ÷ 月次解約率(%を小数にした値)」で概算でき(単位:か月)、解約率が下がるほど1顧客あたりの生涯価値(LTV)が伸びます。

適用例

月初に有料200社・MRR300万円(1社平均=ARPU 1.5万円)のB2B勤怠管理SaaSで、当月6社が解約したとする。 顧客チャーン=6社 ÷ 200社 =3.0%/月。 平均継続期間=1 ÷ 0.03 ≒33.3か月。 失ったMRR=6社 × 1.5万円=9万円なので、売上(グロス)チャーン=9万円 ÷ 300万円=3.0%/月。 ここで既存顧客のID追加・上位プラン化で増額MRRが12万円出たため、ネットレベニューチャーン=(9万円 − 12万円)÷ 300万円=−1.0%/月となり、解約より拡大が上回る「ネガティブチャーン」の状態。 次にオンボーディング改善で顧客チャーンを3.0%→2.0%へ下げると、平均継続期間は33.3か月→50か月へ伸び、粗利1.2万円/月/社(ARPUの80%)で見たLTVは約40万円(33.3×1.2万円)→60万円(50×1.2万円)へ約1.5倍になる。

よくある誤解・つまずき

  • 「顧客数の解約率」と「売上の解約率」を混同する誤解。 単価の高い1社が抜けると、顧客ベースの解約率は小さくても売上ベースでは大きく効く。 件数チャーンとレベニューチャーンは必ず分けて出し、どちらの数字を語っているかを明示しないと判断を誤る。
  • 月次と年次を取り違える誤解。 月次3%は「1−(1−0.03)^12」で年間約31%に相当し、単純に12倍した36%ではない。 月次を年換算するときは複利で計算しないと、離脱の深刻さを過大・過小に見積もる。
  • 「解約率さえ下げれば安泰」という誤解。 既存顧客の増額(アップセル)を無視して解約だけを見ると、拡大の余地を見落とす。 ネットレベニューチャーンがマイナス(ネガティブチャーン)なら、新規獲得が止まっても売上が伸びる強い状態であり、解約率単体より事業の健全性を表す。

使うタイミング

②現状分析で既存顧客がどれだけ離れているかを把握するとき、④アクションプランで継続率・LTV改善の打ち手を決めるとき、⑤振り返りで施策の効果を測るときに使います。 特にサブスク・SaaSや定期購入のように「契約が続くほど儲かる」モデルで中核指標になります。 使う際は必ず(1)期間(月次か年次か)、(2)母数(顧客数か売上額か)、(3)増額を含むネットか含まないグロスか、の3点を揃えて定義するのが鉄則です。 ここが曖昧だと同じ「解約率5%」でも意味が全く変わり、比較や意思決定が成立しません。 逆に、単発取引が中心で継続契約の概念が薄い業態では、解約率よりリピート率や再購入率のほうが実態を表すことが多く、無理に当てはめないことが大切です。

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