戦略ファシリテーター

コスト構造 用語

コストこうぞう

総費用を固定費と変動費に分解し、売上の増減で利益がどう動くかを可視化する収益体質の設計図。

費用を「売上に連動する変動費」と「一定の固定費」に分け、売上の増減で利益がどう動くかを見る。

コスト構造の式。総費用は固定費と変動費の和、限界利益は売上高から変動費を引いたもの総費用固定費売上と無関係変動費変動費率×売上高限界利益売上高変動費限界利益で固定費を回収した残りが営業利益固定費比率が高い体質ほど、分岐点を超えた後の利益の伸びも、赤字時の下振れも大きい

説明

コスト構造とは、事業の総費用を「売上に連動して増減する変動費」と「売上に関係なく一定額かかる固定費」に切り分けて把握する考え方です。 計算式は 総費用(円)= 固定費(円)+ 変動費(円)で、変動費 = 変動費率(%)× 売上高(円)と分解します。 ここから 限界利益 = 売上高 − 変動費、限界利益率(%)= 限界利益 ÷ 売上高 × 100 が導かれ、この限界利益で固定費を回収した残りが営業利益になります。 固定費比率が高い体質ほど損益分岐点を超えた後の利益の伸びが大きく、逆に赤字時の下振れも大きくなります。

適用例

月商500万円のB2B向けSaaS企業で考えます。 変動費(決済手数料・クラウド利用料・カスタマーサポートの従量分)が月120万円なので、変動費率 = 120万円 ÷ 500万円 = 24%。 限界利益 = 500万円 − 120万円 = 380万円、限界利益率 = 380万円 ÷ 500万円 = 76%です。 固定費(人件費・オフィス・広告固定枠)が月300万円なら、営業利益 = 380万円 − 300万円 = 80万円。 ここで損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率 = 300万円 ÷ 0.76 ≒ 394.7万円と分かります。 もし価格改定で変動費率を24%→20%に下げると限界利益率は80%へ上がり、同じ固定費でも損益分岐点は300万円 ÷ 0.80 = 375万円まで下がり、月商500万円時の営業利益は 500万円×80% − 300万円 = 100万円へ増えます。 固定費が重いSaaSは、売上が伸びるほど1円あたりの利益貢献が大きくなる体質だと読み取れます。

よくある誤解・つまずき

  • 「コストは安ければ安いほど良い」と考え、一律に費用を削るのは誤解。 営業や開発などの固定費を削ると将来の売上成長そのものを失い、コスト構造の健全化ではなく縮小均衡に陥る。
  • 固定費と変動費の線引きを絶対視するのも落とし穴。 人件費は短期では固定費に近いが採用・解雇の判断幅では変動し、水道光熱費なども半固定費が多い。 自社の意思決定の時間軸に合わせて分類しないと損益分岐点の計算がずれる。
  • 限界利益(売上−変動費)と粗利(売上−売上原価)を同じものと誤解しやすい。 売上原価に固定的な製造費が含まれる場合、粗利と限界利益は一致せず、値下げ可否の判断は限界利益で見るのが正しい。

使うタイミング

主に②現状分析で自社の収益体質を診断し、③戦略方針で価格設定や事業モデルを設計する場面、④アクションプランで投資(固定費)と単価・原価(変動費)の打ち手を決める場面で使います。 固定費・変動費の分類が自社の意思決定の時間軸とずれていると損益分岐点を誤り、値下げ判断や増産判断を見誤るため、分類基準を先に定義してから用いるのが前提です。

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