ユニットエコノミクス 用語
顧客1人(1契約)あたりで見た採算性のこと。 1顧客の生涯利益と獲得費用を比べて事業の儲かり方を測る。
顧客1人あたりで見た採算。生涯利益が獲得費用の3倍以上、回収は12か月以内が目安。
説明
ユニットエコノミクスとは、顧客1人(または1契約)という最小単位で見た採算性のことで、主に「LTV ÷ CAC(単位=倍)」で表す。 分子のLTV(顧客生涯価値)は「月額単価×粗利率×平均継続月数(単位=円)」、分母のCAC(顧客獲得コスト)は「獲得にかけた費用÷獲得した顧客数(単位=円)」で求める。 この比が3倍以上なら健全、1倍未満なら1顧客ごとに赤字が拡大する状態と判断する。 あわせて「CAC回収期間=CAC÷(月額単価×粗利率)(単位=月)」で獲得費用を何ヶ月で回収できるかも見て、目安は12ヶ月以内とする。
適用例
B2B向けSaaSのケース。 月額単価10,000円、粗利率80%、月次解約率5%とする。 平均継続月数は「1÷解約率=1÷0.05=20ヶ月」。 よってLTV=10,000×0.80×20=160,000円。 広告費と営業人件費で合計400万円をかけ100社を獲得したなら、CAC=4,000,000÷100=40,000円。 ユニットエコノミクス=LTV÷CAC=160,000÷40,000=4.0倍で、目安の3倍を超え健全。 CAC回収期間=40,000÷(10,000×0.80)=40,000÷8,000=5ヶ月なので、獲得から5ヶ月で費用を回収し、以降が利益として積み上がる。 仮に解約率が10%へ悪化すると継続月数は10ヶ月、LTVは80,000円、比は2.0倍へ低下し、獲得ペースを上げるほど資金繰りが苦しくなる。
よくある誤解・つまずき
- 売上ベースのLTV(月額単価×継続月数)だけで判断してしまう誤解。 粗利率を掛けないと、原価やサーバー費・サポート費が重い事業ほど採算を過大評価する。 分子は必ず粗利ベースで見る。
- LTV÷CACが高いほど良いと考える誤解。 極端に高い(例:10倍超)場合は、獲得投資を絞りすぎて成長機会を逃しているサインのこともある。 回収期間(目安12ヶ月以内)とセットで見て、健全なら投資アクセルを踏む判断が要る。
- 立ち上げ初期の少数データで平均を出して安心する誤解。 解約率やCACは顧客層・チャネルで大きく変わるため、サンプルが少ないと数字がぶれる。 セグメント別・コホート別に分けて見ないと実態を見誤る。
使うタイミング
主に②現状分析で、既存事業が「1顧客あたり儲かっているか」を定量把握する場面と、③戦略方針・④アクションプランで獲得投資(広告・営業)を増やすか、解約を減らすか、単価を上げるかを判断する場面で使う。 前提として粗利率とCAC・解約率のデータが必要で、これらが未整備なまま概算で回すと誤った投資判断に直結する。 単発売り切り型でLTVの概念が薄い事業や、契約データが乏しい創業直後には無理に当てはめず、まずデータ整備を優先する。
