キャッシュフロー 用語
一定期間に会社へ実際に出入りした現金の増減額。 利益とは別物で、営業・投資・財務の3活動別に手元資金の動きを表す指標。
実際に出入りした現金の増減。利益とは別物で、営業・投資・財務の3つに分けて読む。
説明
キャッシュフローとは、一定期間に会社へ実際に入ってきた現金と出ていった現金の差額(=手元資金の増減額、単位:円)を指します。 計算式は「キャッシュフロー=現金収入−現金支出」で、活動別に営業・投資・財務の3つに分けます。 営業キャッシュフローは間接法では「税引後利益+減価償却費±運転資本の増減(売掛金・在庫の増加は減算、買掛金の増加は加算)」で求めます。 投資キャッシュフローは設備・有価証券の取得を−、売却を+として計算し、財務キャッシュフローは借入・増資を+、返済・配当を−とします。 会社が自由に使える現金を示すフリーキャッシュフロー(FCF)は「営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー(投資が設備投資のみなら営業CF−設備投資)」で計算します。 利益(発生主義)は掛け売上や減価償却など現金の動かない項目を含むのに対し、キャッシュフローは実際の現金の動きだけを追う点が根本的に異なります。
適用例
従業員15名・年商2.4億円のB2B向けSaaS企業A社の当期を例にとる。 損益計算書上の税引後利益は800万円だが、現金の動きは次の通り。 まず現金が出ていない減価償却費300万円を利益に足し戻す(+300万円)。 次に前受でなく請求書後払いの大口契約が増えたため売掛金が500万円増加し、その分は入金前でまだ現金化していないので減算する(−500万円)。 よって営業キャッシュフロー=800+300−500=600万円。 当期はサーバー増強で設備投資400万円を支出したため投資キャッシュフロー=−400万円。 フリーキャッシュフロー=営業CF600+投資CF(−400)=200万円となる。 利益は800万円の黒字でも、自由に使える現金は200万円しか残らない。 もし売掛金の増加がさらに大きければ、黒字でも営業CFがマイナスに沈み、いわゆる「黒字倒産」の危険水域に入ることが数字で確認できる。
よくある誤解・つまずき
- 「利益が出ていれば現金も残る」という誤解。 利益は掛け売上(未入金)や減価償却(現金非流出)を含む会計上の計算で、現金の動きとはずれる。 売上が急伸しても入金が後ろ倒しの掛け取引が多いと、利益は黒字なのに営業キャッシュフローがマイナスになり資金が尽きる『黒字倒産』が起きる。 中小・B2Bで最も見落とされる落とし穴。
- 「キャッシュフローはとにかくプラスが正義」という誤解。 投資キャッシュフローのマイナスは設備・成長投資に現金を使った結果で、成長期には健全な姿。 逆に投資CFがプラス続きなら資産を切り売りしている恐れもある。 数字の符号だけでなく、営業・投資・財務のどの活動から生まれた増減かを分けて読むのが実務の要点。
- 「減価償却費は費用だからキャッシュフローを減らす」という誤解。 減価償却は現金が出ていかない費用なので、間接法では利益に足し戻す(プラス)項目。 設備を買った期に一括で現金が出て、その後は現金を伴わない費用として毎期計上される点を取り違えると、営業CFの計算を誤る。
使うタイミング
主に②現状分析で自社の資金体力を把握する場面と、④アクションプランで打ち手の資金繰りを検証する場面で使う。 とくに売上を伸ばす施策(新規大口受注、掛け取引の拡大、在庫の積み増し)を検討するときは、利益だけでなく営業キャッシュフローへの影響(入金までの立替期間で現金が先細りしないか)を必ず併せて見る。 誤用として、単月の現金残高だけを見て一喜一憂する使い方は避け、営業・投資・財務の3区分に分けて数か月〜1年単位の流れで読む。 また、黒字か赤字か(損益)とキャッシュフローのプラスマイナスは別問題であり、両者を混同して「黒字だから資金は大丈夫」と判断しないこと。 設備投資や借入返済が重なる期は、フリーキャッシュフローの推移で自由に使える現金の余力を確認するのが安全。
