商品を増やす前に考えたこと。老舗メーカーの事業戦略を5ステップで整理してみる
創業60年・売上12億円の菓子メーカーから「商品を増やせば売上も増えるはず」と相談を受けました。5つのプロセスで整理すると、「もっと売る」より「何を伸ばし、何をやめるか」を決めることが先だと分かります。
創業60年になる菓子メーカーの事業部長から、「商品をもっと増やせば、売上も増えると思うんです」という相談を受けました。売上は12億円。新商品を出せばそのぶんの売上は立つものの、商品数が増えるほど製造も営業も手いっぱいになり、会社全体の売上は期待したほど伸びていない、というのです。
商品を増やすこと自体が間違いだとは言いません。ただ、増やす前に「何を残すのか」を決めたほうがよい局面があります。5つのプロセスで整理してみます。
STEP 01:ビジョン・目的・目標
目標を「商品数を増やす」ではなく、「3年後、主力カテゴリーで地域No.1の指名買いブランドになる」に置きました。新商品を出す目的も、この目標に照らして明確にしています。
STEP 02:現状分析
商品ごとに売上、粗利、リピート率、取扱店舗、購入者を調べました。すると、売上上位の商品よりも、購入頻度と粗利が高い商品のほうに伸びしろがあることが分かりました。競合を見ると、勝っているのは商品数ではなく、用途別に選びやすい売り場づくりでした。
STEP 03:戦略の方針策定・確定
- 誰に:定番商品を安心して選びたい、贈答や手土産の需要を持つ顧客に
- どんな価値を:用途に迷わず選べて、繰り返し買える定番商品としての価値を
- どうやって届けるか:主力商品を百貨店・店舗・自社ECに絞って展開し、用途別の売り場と商品説明で選びやすくする
STEP 04:実行計画の策定
採算の合わない商品や重複している商品のSKUを整理しました。販促予算は主力3商品に集中し、贈答・手土産・日常の3つの用途で売り場提案を用意します。営業資料も、商品一覧から用途別の提案書に切り替えました。
STEP 05:実行方法・振り返り方法
SKU別の粗利、リピート率、店舗あたりの売上、主力商品の売上構成比を毎月確認します。新商品は発売から3か月で、続けるか、改善するか、やめるかを判断します。
相談は「増やす」から「選ぶ」へ
出発点は「商品を増やせば売上も増えるはず」でした。5つのプロセスを通ると、事業戦略で先に決めるべきなのは「もっと売る」ことではなく、「何を伸ばし、何をやめるか」だと分かります。戦略とは選ぶことであって、全部をやることではありません。
対話を重ねるうちに、商品を増やすより先に、やめるべきものが見えてきました。
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