戦略ファシリテーター
事例で整理2

「売上を10億円にしたい」と言われたので、5ステップで戦略を整理してみた

社員45名・売上8億円の印刷会社から「売上を10億円にしたい」と相談を受けました。5つのプロセスで整理すると、論点は「10億円」という数字から「どんな顧客と案件で10億円をつくるか」に変わっていきます。

地方で印刷会社を経営する方から、「売上を10億円にしたい」という相談をいただきました。社員は45名ほど、売上は8億円前後。仕事は途切れず、社員はみな忙しい。それなのに、期末に残る利益が思ったより少ない、という状況です。

素直に聞けば、「あと2億円、売上を積めばいい」という話に見えます。けれども、この数字をそのまま目標に据えるのは危ういのです。戦略づくりの5つのプロセスに沿って整理すると、その理由が見えてきます。

STEP 01:ビジョン・目的・目標

ゴールは「売上10億円」ではなく、「低採算の案件に振り回されず、営業利益率8%を保ったうえでの10億円」に置き直しました。成長の目的も、「規模を大きくすること」から「持続的に稼げる会社に変わること」へ改めています。

STEP 02:現状分析

売上と粗利を、顧客別、商品別、案件別に分けて見ました。浮かび上がったのは、上位20社の中に、売上は大きいのに値引き・小口対応・特急対応が多く、利益を圧迫している顧客がいることです。反対に、企画から印刷まで一括で任せてくれる顧客は、粗利が高いことも分かりました。

STEP 03:戦略の方針策定・確定

  • 誰に:価格だけで選ぶのではなく、提案力を評価してくれる中堅企業に
  • どんな価値を:販促物を「つくる」だけでなく、集客や売上につながる提案を受けられる価値を
  • どうやって届けるか:既存顧客への提案営業を軸に、営業担当が業種別の活用事例を示して受注につなげる

STEP 04:実行計画の策定

顧客をA・B・Cの3つに分けました。Aには企画提案を月2件、Bにはクロスセル、Cには最低受注額と納期の条件を設けます。営業の評価指標にも、売上に加えて粗利と提案件数を組み込みました。

STEP 05:実行方法・振り返り方法

毎月、売上、粗利率、顧客別の利益、提案の受注率、低採算案件の比率を確認します。売上が伸びても粗利が下がるようなら、顧客と商品の構成を組み直します。

相談は「10億円」から「どう稼ぐか」へ

出発点は「売上を10億円にしたい」でした。5つのプロセスを通ると、大事なのは10億円という数字ではなく、どの顧客と、どの案件で10億円をつくるのかを決めることだと分かります。経営戦略とは目標を掲げることではなく、限られた資源をどこに集中させるかの意思決定です。

対話を重ねるうちに、売上を増やす前に決めておくべきことが、はっきりしてきました。

書き手:株式会社イボルバパートナーズ(戦略コンサルティング)会社概要
戦略ファシリテーター

パートナー型の戦略コンサルとの対話を、いつでもAIで。問いかける・引き出す・提案もする。