戦略ファシリテーター

CAC(顧客獲得コスト) 用語

シーエーシー

新規顧客を1件獲得するのにかかった営業・マーケ費用の総額を、獲得した顧客数で割った1件あたりの獲得単価のこと。

新規顧客1件を獲得するのに平均いくらかかったか。単独では判断できず、LTVと対で見る。

CACの式。一定期間の獲得コスト総額を、同じ期間の新規顧客数で割るCAC円/件獲得コスト総額一定期間÷新規顧客数同じ期間分子は広告費・販促費だけでなく、営業の人件費・獲得に使ったツール利用料まで含めるLTV÷CAC=3倍以上が目安。回収期間=CAC÷月次粗利貢献(月)で何か月で取り戻せるかも見る

説明

CAC(顧客獲得コスト/Customer Acquisition Cost)とは、新規顧客を1件獲得するのに平均いくらかかったかを表す指標です。 計算式は「CAC=一定期間の獲得コスト総額 ÷ 同じ期間に獲得した新規顧客数」で、単位は円/件(円/社)。 分子には広告費・販促費だけでなく、営業やインサイドセールスの人件費、獲得に使ったツール利用料まで含めるのが原則で、ここを広告費だけに絞ると実態より小さく見えてしまいます。 CACは単独では良し悪しを判断できず、1顧客が生涯にもたらす利益であるLTVと必ずセットで見ます(目安はLTV÷CAC=3倍以上)。 加えて、CACを1顧客あたりの月次粗利で割った「回収期間(=CAC ÷ 月次粗利貢献、単位は月)」で、獲得費を何か月で取り戻せるかを確認します。

適用例

従業員20名・B2B向けクラウド勤怠管理SaaS「A社」の直近3か月のCACを計算する。 分子=獲得コスト総額は、広告費90万円+MAツール等30万円(マーケ計120万円)+インサイドセールス1名の人件費 月60万円×3か月=180万円で、合計300万円。 分母=同じ3か月の新規獲得は30社。 よってCAC=300万円 ÷ 30社=10万円/社。 次にこれを単独評価せず、月額ARPU2万円・粗利率80%(=月次粗利貢献 2万円×0.8=1.6万円/社)と突き合わせる。 回収期間=CAC10万円 ÷ 月次粗利1.6万円=6.3か月。 さらに平均継続36か月ならLTV=2万円×0.8×36か月=57.6万円で、LTV÷CAC=57.6万円÷10万円=5.8倍。 目安の3倍を上回り、回収も約6か月と健全で、広告投資を増やして良い状態と判断できる。

よくある誤解・つまずき

  • CACの分子を『広告費だけ』で計算してしまう誤解。 営業・インサイドセールスの人件費、商談用ツール、代理店手数料など獲得に費やした費用をすべて含めるのが原則で、人件費を抜くとCACが実態より2〜3倍軽く見え、赤字の獲得を『黒字』と誤認する。 特に人が売る中小B2Bでは人件費が分子の過半を占めることも多い。
  • CACの高い・低いだけで判断してしまう誤解。 CACは単独では意味を持たず、必ずLTV(1顧客の生涯利益)とセットで見る。 CACが高くてもLTVがそれを大きく上回れば健全(目安LTV÷CAC=3倍以上)で、逆にCACが安くてもすぐ解約されLTVが小さければ赤字。 金額の絶対値ではなく回収できるかで見る。
  • 新規と既存、また獲得チャネルを混ぜて平均してしまう誤解。 紹介経由と広告経由ではCACが数倍違うことが普通で、全体平均だけ見ると『どのチャネルを増やすべきか』が見えなくなる。 既存客への追加販売の費用を分子に混ぜるのも誤り(それはCACではない)。 チャネル別・新規のみで分けて見る。

使うタイミング

主に②現状分析で自社の集客・営業の採算を把握する場面と、④アクションプランで広告や営業体制への投資可否・予算配分を決める場面で使う。 判断の型は必ずLTVとの比較(LTV÷CAC≧3が目安)と回収期間(CAC÷月次粗利、単位は月)の2点セットで、CAC単独の増減で一喜一憂しない。 注意点として、獲得件数が月数件しかない初期の中小企業ではCACが月ごとに大きくブレるため、四半期など一定期間でならして見る。 また分子に何を含めたか(人件費・ツール・代理店手数料の有無)を期間や事業間で揃えないと比較が成立しないため、算定範囲を先に固定してから使うこと。

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