戦略ファシリテーター

リテンション率(継続率) 用語

リテンションりつ

ある期間の開始時点の顧客のうち、期末まで離脱せず継続して残った割合を示す、事業の定着度を測る指標。

期首にいた顧客のうち、期末まで残った割合。新規を混ぜない。離脱率と足すと100%。

リテンション率の式。期首顧客数から離脱数を引き、期首顧客数で割って100を掛ける継続率%期首顧客数 − 離脱数÷期首顧客数×100期間中に獲得した新規は分子・分母のどちらにも含めない(混ぜると定着の実態が薄まる)継続率+離脱率=100%。金額ベースはGRR(解約・減額のみ)とNRR(増額も含む)を併用

説明

リテンション率(継続率)とは、ある期間の開始時点にいた顧客・ユーザーのうち、その期末まで解約せずに残った割合を示す指標です。 基本の計算式は「顧客リテンション率=(期首顧客数−期間中の離脱数)÷期首顧客数×100(単位:%)」で、期間中に獲得した新規は分子・分母どちらにも含めないのが鉄則です(新規を混ぜると定着の実態が薄まる)。 離脱率(チャーン率)とは表裏一体で、両者を足すと100%になります(例:継続率97%なら離脱率3%)。 SaaSやサブスクでは顧客「数」だけでなく金額ベースの継続も重視し、既存顧客からの売上が期首の何%残ったかを見るGRR(売上維持率=(期首MRR−解約・減額MRR)÷期首MRR)、アップセルの増額まで含めたNRR(純収益維持率=(期首MRR−解約・減額MRR+増額MRR)÷期首MRR)を併用します。

適用例

従業員40名・B2B向けクラウド在庫管理SaaS「B社」の月次リテンションを見る。 当月の期首は有料契約500社。 当月中に15社が解約し、新規で20社を獲得した(新規は計算に入れない)。 顧客リテンション率=(500−15)÷500×100=485÷500×100=97.0%、裏返しの月次解約率は15÷500×100=3.0%で合計100%になる。 この月次97.0%を1年間続けた場合の年間継続率は0.97の12乗=約69.4%で、月3%の離脱でも1年で3割強が失われることが分かる。 次に金額ベースを見ると、期首MRR80万円に対し当月の解約・減額で3.2万円を失い、既存顧客へのアップセルで2.4万円が増えた。 GRR=(80−3.2)÷80×100=96.0%、NRR=(80−3.2+2.4)÷80×100=99.0%。 顧客数の継続率97.0%だけ見ると好調に映るが、GRR96.0%で金額の目減りが顧客数の減少より大きく(単価の高い顧客が抜けた)、NRR99.0%と100%を割るためアップセルでも埋め切れていない、と一段深い実態が見える。

よくある誤解・つまずき

  • 新規顧客を分子・分母に含めてしまう誤解。 『期末の顧客数÷期首の顧客数』で計算すると、期間中に獲得した新規が既存の離脱を覆い隠し、継続率が実態より高く見える。 リテンションはあくまで『期首にいた顧客が残ったか』を測るもので、新規獲得の勢いとは切り分けて計算する。
  • 顧客『数』の継続率だけ見て安心する落とし穴。 数は97%残っていても、単価の高い大口が抜け小口が残れば売上は大きく目減りする。 SaaS・サブスクでは金額ベースのGRR・NRRを併用しないと、収益の実態を見誤る。 NRRが100%を超えれば新規ゼロでも売上が育つ『雪だるま』状態だが、数の継続率ではこの差は見えない。
  • 集計期間・対象の定義を揃えずに他社や過去と比べる誤解。 月次と年次では数字の意味がまるで違い(月次97%でも年次では約69%)、対象を全顧客にするか特定プランに絞るかでも値は変わる。 定義を固定せずに比較すると、改善したのか集計方法が変わっただけなのか判断できない。

使うタイミング

主に⑤実行・振り返りで、施策が顧客の定着につながったかを継続的にモニタリングする場面や、②現状分析で自社の収益基盤の強さ・弱さを把握する場面で使う。 とくにSaaS・サブスク・リピート型ビジネスでは、新規獲得コスト(CAC)を回収できるかがリテンションで決まるため、事業の生命線となる指標。 使い方の注意として、契約期間が長く母数が少ない業態(大型受注のB2Bなど)では単月の解約1件で率が大きく振れるため、母数が十分ある単位・期間で見る。 また継続率は『なぜ残った/離脱したか』の理由までは示さないため、改善に使うときは解約理由の分析やオンボーディング完了率など先行指標とセットで見る。 単独の数字を追うだけでは打ち手に落ちない。

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