戦略ファシリテーター

PEST分析 フレームワーク

ペストぶんせき

政治・経済・社会・技術の4視点でマクロ環境の変化を棚卸しし、事業の機会と脅威を先読みする外部環境分析の手法。

自社では変えられない世の中の流れを4つに分け、数年先に効く追い風(機会)と向かい風(脅威)を早めに見つける。

PEST分析の図。政治、経済、社会、技術の4視点POLITICS政治法規制・補助金・税制業界ルールECONOMY経済景気・金利・為替原材料価格・人件費SOCIETY社会人口動態・高齢化価値観・生活様式TECHNOLOGY技術生成AI・キャッシュレスSaaS化・自動化自社に直接効くものに絞る。SWOTや3Cに入る前の「外部環境の材料集め」

各項目を「機会か脅威か」「影響の大きさ」「効いてくる時期(1年内/3年内)」で仕分け、大きく近いものだけをSWOTの外部要因(O/T)へ引き継ぐ。

用途

自社の努力では変えられない「世の中の大きな流れ」を政治・経済・社会・技術の4つに分けて捉え、数年先に効いてくる追い風(機会)と向かい風(脅威)を早めに見つけて、戦略の前提を固めるために使う。 中小企業では「気づいたときには手遅れ」を防ぐ早期警戒レーダーとして機能する。

使い方

  1. 政治(Politics)=法規制・補助金・税制・業界ルールの変化を挙げる。 中小企業ならインボイス制度・最低賃金改定・省庁の補助金公募など、自社に直接効くものに絞る
  2. 経済(Economy)=景気・金利・為替・原材料価格・人件費・顧客の可処分所得を挙げる。 仕入コストや客単価に響く数字を優先する
  3. 社会(Society)=人口動態・高齢化・共働き・価値観・生活様式の変化を挙げる。 自社の商圏や顧客層に起きている変化に絞る
  4. 技術(Technology)=生成AI・キャッシュレス・SaaS化・自動化など、自社の商品や業務プロセスを変えうる潮流を挙げる
  5. 各項目を『機会か脅威か』『影響の大きさ』『効いてくる時期(1年内/3年内)』で仕分けし、大きく近いものだけを戦略方針・SWOTの外部要因(O/T)に引き継ぐ

適用例

従業員8名・年商1.2億円のBtoB向け業務システム受託開発会社が現状分析でPEST分析を実施。 政治=IT導入補助金の中小企業向け上限拡大(追い風・1年内)、経済=エンジニア平均年収が前年比+6%で外注単価も上昇(向かい風・進行中)、社会=発注元である地方中小の後継者不足でIT投資に慎重(向かい風・3年内)、技術=生成AIで受託コーディングの一部が内製化・低価格化(脅威・1〜2年内で最大)と整理。 結論として「工数を売る受託」から「補助金対応の月額5万円のSaaS型保守サービス」へ軸足を移す方針を導き、初年度に既存15社中8社を月額契約へ転換し、ストック売上480万円/年(8社×5万円×12ヶ月)を積み上げる目標を設定した。

よくある誤解・つまずき

  • 4象限を『埋めること』が目的化しやすい。 ニュースを大量に並べても戦略は動かない。 『自社の売上・コストにどう効くか』『いつ効くか』まで踏み込まないと、ただの時事メモで終わる
  • マクロ環境を『自社でコントロールできる話』と混同する誤り。 PESTは自社では変えられない外部の大きな流れを扱う枠であり、自社の強み・弱みや商品改善(内部要因)はSWOTや3Cの自社(Company)で扱う。 ここを混ぜると打ち手がぼやける
  • 一度作って終わりにしがちだが、マクロ環境は動く。 特に技術(T)や政治(P)は数ヶ月で状況が変わるため、年1回程度は見直さないと前提が古びて戦略ごと的外れになる

使うタイミング

5プロセスの②現状分析で、SWOTや3Cに入る前の『外部環境の材料集め』として使うのが最適。 数年スパンで環境が変わりうる新規事業・新市場参入・中期計画づくりの前段で効く。 逆に、当月の売上をどう作るかといった短期の戦術検討や、環境変化がほぼ無い局所的な業務改善には、抽象度が高すぎて時間の無駄になりやすい(早すぎる失敗=目的なくニュースを集めるだけ/遅すぎる失敗=方針を決めた後に形式的に埋めて後付け正当化に使う)。

出典

フランシス・アギラーScanning the Business Environment(1967)

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