戦略ファシリテーター

SWOT分析 フレームワーク

スウォットぶんせき

自社内部の強み・弱みと、外部環境の機会・脅威を4象限で棚卸しし、戦略の土台となる論点を可視化する現状分析の手法。

内部か外部か、プラスかマイナスか。事実を4つの箱に並べる。打ち手はクロスSWOTで出す。

SWOT分析の図。内部要因と外部要因、プラス要因とマイナス要因の4象限プラス要因マイナス要因事業にとって内部要因外部要因自社で動かせるかS 強み(Strengths)競合や業界平均と比べて優れている点W 弱み(Weaknesses)競合や業界平均と比べて劣っている点O 機会(Opportunities)自社では動かせない追い風になる変化T 脅威(Threats)自社では動かせない向かい風になる変化

外部(機会・脅威)から先に埋める。強み・弱みには「何と比べて」を添え、事実と数字で1行にする。各象限は3〜5個に絞る。

用途

3C・PESTなどで集めた事実を「内部×外部」「プラス×マイナス」の4象限に整理し、どの強みを機会にぶつけ、どの弱み・脅威に備えるかという戦略オプションの起点をつくる。 SWOT単体は『並べる』段階までで、打ち手はクロスSWOTで導く前提の仕込みに位置づける。

使い方

  1. 外部環境(機会O・脅威T)から先に洗い出す。 市場・顧客・競合・法規制など自社では動かせない要因を、PESTや3Cの結果から拾って埋める(内部から始めると自社に都合のいいOTになりがちなので順序が重要)。
  2. 内部要因(強みS・弱みW)を洗い出す。 ただし『何と比べて』を必ず添える。 競合A社と比べた提供リードタイム、業界平均と比べた粗利率など、比較対象なしの主観語(例:技術力が高い)は禁止。
  3. 各項目を『事実+数字』で1行化し4象限に配置する。 『リピート率が業界平均25%に対し58%』のように検証可能な粒度まで落とす。 曖昧な項目は現状分析(3C等)に差し戻す。
  4. 項目を重要度で絞り込む(各象限3〜5個)。 全部残すと次工程で発散するため、事業の勝敗を分ける要因だけに厳選し、優先度の低いものは別紙に退避する。
  5. クロスSWOT(S×O/W×O/S×T/W×T)に渡して戦略オプションへ変換する。 SWOT表そのものは結論ではなく次工程への入力である点を明示して締める。

適用例

従業員12名・年商1.8億円のB2B向けクラウド勤怠管理SaaS「A社」の現状分析。 強み(S)=解約率が月0.8%と業界平均2.5%より低く導入企業の定着が良い/サポート応答が平均15分。 弱み(W)=新規リードを代理店1社に依存し全受注の70%、単独集客が弱い/開発者3名で機能追加が四半期1本と遅い。 機会(O)=労働時間把握義務化で30名未満の小規模企業に潜在需要が拡大/競合大手は初期費用20万円超で小規模層が手薄。 脅威(T)=無料枠を持つ大手が下位市場へ参入の動き/代理店が競合製品に乗り換えると売上70%が一気に消失。 ここまでが並べる段階。 次のクロスSWOTでW(代理店依存)×T(乗り換えリスク)に対し「自社直販チャネルの立ち上げ(半年で直販比率30%)」という守りの打ち手を導出し戦略方針工程へ橋渡しする。

よくある誤解・つまずき

  • 『表を埋めたら分析完了』という誤解。 SWOTは論点を並べる仕込みであって結論ではない。 4象限を埋めて満足し、S×O・W×Tといった掛け合わせ(クロスSWOT)で打ち手に変換しないと、経営会議で『で、何をするの?』と行き詰まる。 SWOTの価値はクロスSWOTに渡して初めて出る。
  • 強み・弱みに比較対象がなく『主観の作文』になる誤解。 『提案力がある』『価格が安い』は誰と比べてかが無いと検証も反論もできない。 強みは競合・業界平均という基準を必ず添え、数字(粗利率・リードタイム・解約率)で書く。 基準の無いSWOTは次工程で使えない。
  • 内部要因(SW)と外部要因(OT)を取り違える誤解。 『自社の営業人数が少ない』は弱み(W=内部)だが、『市場全体で人手不足が進む』は機会にも脅威にもなる外部要因(OT)。 自社の意思で変えられるか否かで内外を分ける。 ここが混ざると打ち手(自社が動かすもの)と前提(環境として備えるもの)の切り分けを誤る。

使うタイミング

現状分析(②)の後半、3C・PEST・5Forcesなどで外部・内部の事実がそろった段階で使うのが適切。 早すぎる失敗=事実収集の前にいきなりSWOTを開くと、思いつきや希望的観測で象限を埋め『社長の主観の清書』に終わる。 遅すぎる・使いどころを誤る失敗=戦略方針が固まった後に体裁づくりで作ると、結論に合わせて項目を後付けする本末転倒になる。 また、単一事業・単一論点の整理には有効だが、複数事業のポートフォリオ配分や定量的な投資判断そのものには向かず、その場合は次工程や別手法に委ねる。 SWOTは論点を並べ、クロスSWOTへ渡すまでが役割。

出典

アルバート・ハンフリースタンフォード研究所(1960年代)

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