戦略ファシリテーター

市場機会 用語

しじょうきかい

外部環境の変化や未充足の顧客ニーズが生む、自社が事業として攻めれば成長できる余地のこと。

外部の変化や未充足のニーズが生む「攻めどころ」。困りごとがあり、規模があり、自社が勝てる。3条件がそろって初めて機会になる。

市場機会の図。顧客の困りごと、一定以上の規模、自社が勝てるの3つの円が重なる領域機会NEED困りごとがある未充足の顧客ニーズSIZE規模がある一定以上の大きさWIN自社が勝てる強みを活かせる3条件がそろう所=本当の市場機会

社内の思いつきや競合の真似を「機会」と呼ばない。PEST・SWOTで洗い出した外部変化のうち、自社の強みを活かせば事業化できるものだけ。

説明

市場機会とは、市場の変化・技術進化・法規制・競合の穴・満たされていない顧客ニーズなどによって生まれる、自社が新たな売上や成長を獲得できる「攻めどころ」を指します。 SWOTの「機会(Opportunity)」やPEST分析で抽出された外部変化のうち、自社の強みを活かせば実際に事業化できるものだけが本当の市場機会です。 単なる「良さそうな流行」ではなく、①顧客の困りごとが存在し、②その規模が一定以上あり、③自社が勝てる、という3条件がそろって初めて意味を持ちます。 だからこそ現状分析(第2プロセス)で機会・脅威・強み・弱みを洗い出し、戦略方針(第3プロセス)でどの機会に資源を集中するかを決めるという流れになります。

適用例

従業員30名の地方の会計事務所を例に取ります。 PEST分析で「電子帳簿保存法・インボイス制度への対応に追われる小規模事業者が地域に約2,000社あるのに、対応支援を専門にする事務所が周囲に少ない」という外部変化を発見しました。 これは、①明確な困りごと(法対応が分からない)、②規模(2,000社×平均年間8万円で市場規模1.6億円)、③自社が既存の記帳代行ノウハウで勝てる、の3条件がそろう市場機会です。 実際に「制度対応まるごと支援パック」を新設し、初年度で40社・年間320万円の新規売上を獲得できました。 一方、同時期に話題だった「AI財務コンサル」は自社に人材がなく③を満たさないため、機会に見えても見送る判断をしています。

よくある誤解・つまずき

  • 「市場が伸びている=市場機会」と考えてしまう。 市場が大きくても自社が勝てなければ機会ではなく、強豪ひしめくレッドオーシャンでは脅威に転じる。 規模・ニーズ・自社の勝ち筋の3点セットで判断すべき。
  • 外部環境の機会を並べて満足し、自社の強みと突き合わせないまま終わってしまう。 SWOTのO(機会)はS(強み)と掛け合わせて初めて戦略になる(クロスSWOT)。 列挙で止めると絵に描いた餅になる。
  • 機会をたくさん見つけるほど良いと考え、あれもこれもと手を広げてしまう。 中小企業は資源が限られるため、勝てる1〜2個に絞って集中投下しないと、どれも中途半端になり成果が出ない。

使うタイミング

主に第2プロセス(現状分析)で使います。 PEST分析やSWOTで外部環境を洗い出し、「これは自社が攻められる機会か」を判定する場面です。 抽出した機会は第3プロセス(戦略方針)に持ち込み、どの機会に資源を集中するかの意思決定材料にします。 誤用しやすいのは、社内の思いつきや競合の真似を「機会」と呼んでしまうケース。 顧客の未充足ニーズと外部変化に裏付けられていない案は、市場機会ではなく単なるアイデアとして区別する必要があります。

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