戦略ファシリテーター

IRR(内部収益率) 用語

アイアールアール

投資の正味現在価値がちょうどゼロになる割引率のこと。 率で投資効率を測り、要求利回りと比べ採否を決める指標。

NPVがちょうどゼロになる割引率。要求利回りを上回る案件を選ぶ。儲けの金額はNPVで見る。

IRRの式。各期のキャッシュフローを1足すIRRの年数乗で割った合計がゼロになるIRRを求めるΣ 各期のCF÷(1+IRR)^年数0を満たす IRR・年率%初期投資はマイナスのCFとして年0に置く。IRR>ハードルレート(要求利回り)なら割に合うNPVは金額で儲けの大きさ、IRRは率で効率。CFの符号が複数回変わる案件は複数解になり得るのでNPVで検証

説明

IRR(内部収益率)とは、投資から生まれる将来のキャッシュフローの正味現在価値(NPV)がちょうどゼロになる割引率のこと。 式で表すと「Σ(各期のキャッシュフロー ÷ (1+IRR)^経過年数)= 0」を満たすIRRを解として求める(単位は年率%)。 分子は各期の回収額、分母は(1+IRR)の年数乗で、初期投資はマイナスのキャッシュフローとして年0に置く。 このIRRを、資金調達コストや要求利回り(ハードルレート)と比べ、IRR>ハードルレートなら投資は割に合う、と判断する。 NPVが金額(円)で儲けの大きさを示すのに対し、IRRは率(%)で投資効率を示す点が対になる。

適用例

あるB2B SaaS企業が、新機能開発に初期投資1,000万円を投じ、その後3年間の追加利益(キャッシュフロー)が1年目350万円・2年目450万円・3年目500万円と見込まれるとする。 IRRは「-1,000 + 350/(1+r) + 450/(1+r)² + 500/(1+r)³ = 0」を満たすrで、これを解くと約13.5%。 実際にr=13.48%で各期を割り引くと、308+349+342≈999万円となり初期投資1,000万円とほぼ等しく、NPV≈0で整合する。 自社の資金コスト(ハードルレート)が年10%なら、IRR13.5%>10%なので投資はGO。 ちなみに同じ案件を10%で割り引くとNPVは+約66万円のプラスとなり、判断は一致する。

よくある誤解・つまずき

  • 「IRRが高い案件ほど常に儲かる」は誤解。 IRRは率(%)なので投資規模を無視する。 IRR30%でも投資額100万円の案件と、IRR15%で1億円の案件では、稼ぐ金額(NPV)は後者が圧倒的に大きい。 規模を伴う意思決定ではNPVと併用すべき。
  • 「IRRはその率で再投資できる前提」を見落としがち。 IRRの計算は回収資金を同じIRRで運用し続けると暗黙に仮定するため、高IRR案件ほど現実離れした再投資利回りを前提にしてしまう。 長期・高利回り案件では実力を過大評価しやすい。
  • 「IRRは必ず一つに決まる」は誤り。 途中で追加投資が入りキャッシュフローの符号が複数回変わると、IRRが複数存在したり解なしになったりする。 この場合はIRR単独で判断せず、NPVを主軸に据える。

使うタイミング

アクションプラン(④)で複数の投資施策や設備・開発案件の採否・優先順位を比べるときに使う。 自社の資金コストや要求利回り(ハードルレート)を上回るIRRの案件を選ぶのが基本。 ただしIRRは投資規模を映さないため、稼ぐ金額を問う場面ではNPVを主役にIRRを補助として併用する。 キャッシュフローの符号が複数回変わる案件(追加投資や途中撤退を含む)ではIRRが複数解・解なしになり得るので、その際はIRR単独で判断せずNPVで検証すること。 数年にわたる回収が読めない、または単発の短期施策ではIRRを持ち出す意味が薄い。

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