戦略ファシリテーター

実現可能性 用語

じつげんかのうせい

打ち手や計画が、自社の人・金・時間・技術の制約下で実際にやり切れるかを見極める判断軸。 絵に描いた餅を防ぐ物差し。

良いアイデアか(効果)と、自社でやり切れるか(実現可能性)は別問題。2軸で仕分けて、やり切れることに絞る。

実現可能性の図。効果の大小と、実現可能性の高低の4象限高い低い実現可能性(人・金・時間・技術の制約下で)効果(インパクト)集中する限られた資源をここに投じる資源を足す前提か人員・資金が用意できる見込みがあるかを問う余力で効果は小さいがやり切れる見送る絵に描いた餅

構想段階で早々に「うちには無理」と潰さない。打ち手を具体化する工程で問う。「今の資源のままか、資源を足す前提か」を明示して判断する。

説明

実現可能性とは、ある打ち手・目標・計画が「実際に自社で実行しきれるか」を、人材・資金・時間・技術・組織などの制約に照らして冷静に見極める判断の軸です。 良いアイデアかどうか(効果の大きさ)とは別問題で、いくら効果が大きくても、必要な人員や資金が用意できなければ実現可能性は低いと評価します。 戦略の実務では、この「効果(インパクト)」と「実現可能性」の2軸で打ち手を仕分けし、限られた経営資源をどこに投じるかを決めます。 多くの現場では「やりたいこと」を並べる力より、「やり切れることに絞る」実現可能性の判断が成果を分けます。

適用例

従業員15名・年商2.4億円のB2B向けSaaSを運営するA社が、④アクションプランで打ち手を検討した場面。 案X=新機能を6本追加して大手企業へ上位展開(見込み増収年3,000万円)、案Y=既存顧客向けオンボーディング改善で初月解約を減らす(見込み増収年600万円)。 効果だけ見れば案Xが魅力的だが、開発者は3名で年間の開発余力は機能2本分、案Xの6本は残業前提で品質崩壊のリスクが高く、実現可能性は「低」。 一方の案Yは既存メンバーで2週間、追加コストほぼゼロで着手でき実現可能性は「高」。 A社は「効果は中でも実現可能性が高い案Y」を先に実行し、3か月で初月解約率を8%→5%に改善。 生まれた開発余力で翌四半期に案Xを機能2本ずつ段階着手する、と現実的なロードマップに落とし込んだ。

よくある誤解・つまずき

  • 「実現可能性が高い=優先すべき打ち手」という誤解。 実現可能性は効果とセットで見る片輪にすぎない。 すぐできて楽な施策ばかり選ぶと、簡単だが効果の小さい打ち手ばかりが並び、事業を動かす『効果は大きいが難しい打ち手』に永遠に手がつかない。 ペイオフマトリクスのように効果×実現可能性の2軸で見るのが正しい。
  • 実現可能性を「気合と根性でやれるかどうか」の精神論で判断してしまう誤解。 実務では、必要な人月・資金・期限・必要スキルの有無という具体的な制約に数字で照らして判定する。 『やる気があればできる』で押し切った計画は、途中で人手や資金が尽きて頓挫し、絵に描いた餅で終わる。
  • 実現可能性を一度きりの固定判定と考える誤解。 人を採用したり外部委託を使ったり期限を延ばしたりすれば、いま『不可能』な打ち手も『可能』に変わる。 実現可能性は前提条件(資源・期間)次第で動くため、『この条件が整えば実現可能』という条件付きで捉え、資源配分の議論とセットで扱うのが実務的。

使うタイミング

主に③戦略の方針策定〜④アクションプランで、複数の打ち手候補を絞り込むときに使う。 効果(インパクト)と実現可能性の2軸で仕分けし、限られた人・金・時間をどこに集中させるかを決める場面が中心。 誤用しやすいのは、①ビジョンや目標を描く段階で早々に実現可能性を持ち出し、「うちには無理」と可能性を潰してしまうケース。 構想段階では一度あるべき姿を大きく描き、実現可能性は打ち手を具体化する工程で問うのが順序として正しい。 逆に④で計画を固める段になっても実現可能性を検証せず、根拠のない増員・増収前提のまま走り出すと、途中で資源が尽きて頓挫する。 「今の資源のままか、資源を足す前提か」を明示して判断するのがコツ。

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