戦略ファシリテーター

ブランドエクイティ評価 フレームワーク

ブランドエクイティひょうか

自社ブランドの資産価値を認知・知覚品質・連想・ロイヤルティの4軸で診断し、弱い軸を特定して、価格プレミアムの金額換算まで行う手法。

知られているか・品質がどう受け取られているか・何を連想されるか・繰り返し選ばれるか。4軸で診断し、弱い軸に投資を寄せる。

ブランドエクイティ評価の4軸。認知、知覚品質、連想、ロイヤルティと、それぞれが弱いときの打ち手認知名前を知っている割合弱ければ→露出知覚品質品質の評価点弱ければ→商品と体験連想思い浮かぶ言葉・イメージずれていれば→伝え方ロイヤルティ再購入率・顧客維持率弱ければ→購入後の体験競合と比べて劣る軸を1つに絞る。調査データが無ければ聞き取りの自己診断から

「知られているのに選ばれない」は知覚品質か連想、「選ばれているが広がらない」は認知の問題。価格プレミアムの効果=(競合との価格差−増分原価)×数量=年間の増分粗利。

用途

ブランドエクイティ評価の目的は、「うちのブランドは強いのか」という漠然とした問いを、4つの軸(どれだけ知られているか・品質がどう受け取られているか・何を連想されるか・どれだけ繰り返し選ばれるか)に分けて診断し、どこに投資すべきかを決めることにある。 ブランドは見えない資産だが、認知率や再購入率といった数字で近似でき、同じ商品より高く売れる価格差(価格プレミアム)に増分原価と数量を掛ければ金額にもなる。 4軸に分けることで、「知られているのに選ばれない(知覚品質か連想の問題)」「選ばれているが広がらない(認知の問題)」のように、打ち手の方向が変わる。 中小企業では広告費をどこに使うかの根拠になり、調査データが無くても4軸の自己診断から始められる。

使い方

  1. 4軸を定義する:認知(対象顧客のうち名前を知っている割合)、知覚品質(品質の評価点)、連想(ブランドから思い浮かぶ言葉・イメージ)、ロイヤルティ(再購入率や顧客維持率で近似)。
  2. 各軸を評価する:調査データがあれば数値で、無ければ社内と顧客数名への聞き取りで5段階などの自己診断を行う。 事業のタイプで軸の重み付けを変える(消費財は認知、業務用は知覚品質とロイヤルティが重い)。
  3. 弱い軸を特定する:競合と比べて劣る軸を1つに絞る。 認知が弱ければ露出、知覚品質が弱ければ商品と体験、連想がずれていれば伝え方、ロイヤルティが弱ければ購入後の体験が打ち手の領域になる。
  4. (補助)金額に換算する:価格プレミアムの効果=(競合との価格差−増分原価)×プレミアムで売れている数量=年間の増分粗利。 継続年数分を割り引けばブランドの価値の下限になる。
  5. STEP3の方針へ:弱い軸をどの水準まで上げるかを目標にし、ブランディング・価格・マーケティング施策に落とす。

適用例

【地域密着の調味料メーカー(従業員35名)の例】 主力の醤油は競合の同容量品より500円高い価格で年5万本売れている。 増分原価(原料と瓶の差)は1本100円。 ・認知:対象地域での認知率35%(競合大手60%) ・知覚品質:購入者アンケートで5点満点中4.2点(競合3.8点) ・連想:「地元」「昔ながら」が上位。 狙っていた「料理が上手くなる」は下位 ・ロイヤルティ:再購入率68%(競合50%) ・価格プレミアムの金額換算=(500円−100円)×5万本=年2,000万円の増分粗利 社長は「知名度を上げるためテレビCMを打つ」つもりだったが、4軸で見ると弱いのは認知だけで、知覚品質とロイヤルティは競合より強かった。 つまり「一度買った人は選び続けるが、知らない人が多い」構造で、認知への投資は正しい方向だった。 ただし連想が『地元・昔ながら』に寄っており、若い世代への広がりを妨げていることも分かった。 方針を「認知を上げる投資」と「連想に『料理の腕が上がる』を足す伝え方」の2本に絞り、CMではなく料理教室と動画レシピに広告費を回した。 1年後、認知率は35%から48%へ、再購入率は68%を維持し、プレミアム販売本数は5万本から6.2万本へ増えた。 増分粗利は400円×6.2万本=2,480万円で、年480万円の上積みになった。

よくある誤解・つまずき

  • 『ブランドは認知度のこと』という誤解。 知られていても選ばれないブランドは多い。 認知は4軸の1つで、知覚品質・連想・ロイヤルティが伴って初めて価格プレミアムにつながる。
  • 『ブランド価値は売上で測れる』という誤解。 金額換算の基本は、価格差から増分原価を引いた増分粗利×数量。 売上で数えると、原価の高いプレミアム商品の価値を過大に見積もる。
  • 『調査データが無ければ評価できない』という誤解。 4軸の自己診断と顧客数名への聞き取りで弱い軸の当たりは付く。 金額換算だけを『仮・要検証』として、後で調査データに差し替えればよい。

使うタイミング

戦略づくりの5プロセスのうち②現状分析で、ブランディング戦略・価格戦略・デジタルマーケティングの投資先を決める局面で使う。 早すぎる失敗=ターゲット顧客が定まっていない段階で認知率や連想を測ると、誰にとってのブランドかが曖昧で数字の意味が定まらない(先にSTPで対象を絞る)。 遅すぎる失敗=広告費の配分を決めた後に4軸を診断すると、弱くない軸に投資していたことが後から分かる。 広告や商品改良の予算配分の前に4軸を診断し、弱い軸に予算を寄せる。

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