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アンゾフのマトリックス フレームワーク

アンゾフのマトリックス

製品(既存・新規)×市場(既存・新規)の2軸4象限で、事業成長の方向性を4つに整理する手法。

製品と市場、それぞれ「既存か新規か」で成長の道を4つに分ける。①から④の順にリスクが上がる。

アンゾフのマトリックスの図。製品(既存・新規)×市場(既存・新規)の4象限既存市場新市場市場既存製品新製品製品① 市場浸透今の顧客への売上を深掘りする② 新市場開拓同じ商品を別の地域・客層・チャネルへ広げる③ 新製品開発今の顧客に新しい商品・サービスを④ 多角化新商品を新市場に投じる=リスクは最も高い

既存の資産を活かせる順(リスクの低い順)に比べ、成長投資の的を絞る。

用途

「どこで伸ばすか」の選択肢を市場浸透・新市場開拓・新製品開発・多角化の4つに分解し、成長投資の的を絞る。 売上を伸ばしたいが打ち手が漠然としている経営者が、既存資産を活かせる順(リスクの低い順)に成長経路を比較検討するために使う。

使い方

  1. 縦軸に製品(既存/新規)、横軸に市場(既存/新規)をとった2×2の表を描く
  2. ①市場浸透(既存製品×既存市場)=今の顧客への売上を深掘りする策を書き出す
  3. ②新市場開拓(既存製品×新市場)=同じ商品を別の地域・客層・チャネルへ広げる策を書き出す
  4. ③新製品開発(新製品×既存市場)=今の顧客に新しい商品・サービスを提供する策を書き出す
  5. ④多角化(新製品×新市場)=新商品を新市場に投じる策を書き、①→④はリスクが上がる順として優先度を判断する

適用例

年商3,600万円・既存顧客200社の中小SaaS(勤怠管理ツール/ARPU月1.5万円)が停滞打破のため4象限で検討。 ①市場浸透=既存200社に有料オプション(給与連携)を月+5千円で案内し30%(60社)が導入、増収は60社×5千円×12=年+360万、ブレンドARPUは1.5万→1.65万(60社×5千円÷200社=平均+1,500円)。 ②新市場開拓=同じツールを未進出の建設業向けにチャネル販売、新規50社×1.5万×12=年+900万。 ③新製品開発=既存顧客向けにシフト自動作成の新プランを月1万で開発、40社導入で年+480万。 ④多角化=人事評価SaaSを未取引の製造業へ、開発費1,500万・初年度回収不透明。 結果、投資対効果と失敗時の影響から①②を先行、④は保留と判断。

よくある誤解・つまずき

  • 「多角化=成長の王道」という誤解。 製品も市場も新規の第4象限は既存の強みが最も効かず失敗率が最も高い。 中小企業はまず①市場浸透で今の顧客の単価・継続率を伸ばし切るのが定石で、いきなり④に飛ぶのは資金と人材を分散させる典型的な失敗。
  • 4象限を「全部やることリスト」と勘違いする誤解。 マトリックスは選択と集中のための道具で、経営資源が限られる中小企業が4方向へ同時投資すればどれも中途半端になる。 1〜2象限に絞るのが本来の使い方。
  • 「新市場開拓」と「多角化」を混同する誤解。 既存商品のまま客層・地域を変えるだけなら②新市場開拓(リスク中)で、商品まで新しくするのが④多角化(リスク高)。 ここを取り違えると必要投資とリスクを見誤る。

使うタイミング

②現状分析でPEST・3C・SWOTを終え「自社の強みと市場機会」が見えた後、③戦略方針を決める前段で使うのが最適。 早すぎる(自社の強み・顧客像が曖昧なうち)と各象限の打ち手が絵空事になり、遅すぎる(アクションプラン確定後)と方向転換のコストが跳ね上がる。 既存事業が黒字で守りの余力がある時ほど新象限への挑戦判断に向く。

出典

イゴール・アンゾフ企業戦略論(1965)

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