TAM・SAM・SOM 用語
市場規模を、カテゴリー全体・自社が届く範囲・現実に取れる分の三層に分けて金額で見積もる枠組み。
カテゴリー全体・自社が届く範囲・現実に取れる分の三層を、金額(円/年)で見積もる。数字より前提の明示に価値がある。
SOMを「市場全体の何%」と直感で置くのは誤用。必ずSAMからの獲得見込みシェアとして根拠づける。既存事業の実績があれば、それを起点に補正する。
説明
TAM・SAM・SOMは、狙う市場の大きさを三層に分けて金額で見積もる枠組みです。 TAM(Total Addressable Market)=製品カテゴリー全体の理論上の総需要、SAM(Serviceable Available Market)=自社の製品・地域・チャネルで実際に届く範囲、SOM(Serviceable Obtainable Market)=一定期間で現実的に獲得できる部分を指します。 計算式は概ね TAM=対象顧客数×顧客あたり年間支出額、SAM=TAM×自社が到達できる割合、SOM=SAM×獲得見込みシェアで、いずれも金額(円/年)で表します。 数字の絶対値より、根拠となる前提を明示することに価値があります。
適用例
地方の中小SaaSが、勤怠管理ツール(月額1ユーザー500円想定)を売る場合。 国内の対象となる従業員規模の企業が約40万社、平均30ユーザーとすると、TAM=40万社×30人×500円×12カ月=720億円/年。 ただし自社は「東名阪の従業員30〜300人・特定業種」に絞るため到達可能な企業は全体の5%=2万社に限られ、SAM=720億円×5%=36億円/年。 さらに営業体制から3年で到達できる顧客シェアを2%と見積もると、SOM=36億円×2%=0.72億円(=7,200万円)/年。 この0.72億円が事業計画の売上上限の目安となり、必要な営業人員や資金調達額を逆算する土台になります。
よくある誤解・つまずき
- TAMが大きいほど良い、と思い込む。 TAMは理論上の総需要にすぎず、自社が取れるのはSOMの範囲。 TAMの大きさで投資判断を早合点すると、到達できない市場を過大評価する。
- 三層を『掛け算の割合』だけで機械的に出せば正しい、と考える。 割合の根拠(なぜ到達率5%なのか、なぜシェア2%なのか)を営業体制や競合状況で説明できなければ、数字は説得力を持たない。
- 一度出したら固定値だと考える。 前提(単価・対象社数・シェア)が変われば全層が動くため、TAM/SAM/SOMは仮説として定期的に見直す前提の推計値である。
使うタイミング
主に②現状分析や③戦略方針の段階で、参入する市場の大きさと自社の取り分を金額で把握し、事業計画・投資判断・資金調達の説明に使います。 フェルミ推定の考え方で前提を積み上げるのが基本です。 注意点として、SOMを『市場全体の何%』と直感で置くのは誤用で、必ずSAMからの獲得見込みシェアとして根拠づけること。 また既存事業の実績値がある場合はそれを起点に補正すると精度が上がります。
