RFM分析 用語
既存顧客を最終購入日・購入頻度・購入金額の3軸でスコア化し、優良層と離脱層に切り分けて打ち手を変える顧客分析の手法。
直近性・頻度・金額の3軸で1〜5点を付け、セルの意味を読んで層ごとに打ち手を変える。Rだけ向きが逆。
スコアは自社顧客の中での相対順位で決める。合計や平均を見ず、R5F5M5(優良)・R1F5M5(かつての優良が離脱寸前=休眠優良)のようにセルで読む。
説明
RFM分析とは、既存顧客を Recency(最終購入からの経過日数=直近性)/Frequency(一定期間の購入回数=頻度)/Monetary(累計または期間内の購入金額=金額)の3つの軸で採点し、「今どの顧客がどれだけ大切か」を可視化して施策を出し分ける顧客分析の手法です。 単一の計算式ではなく、各軸を通常5段階(顧客を金額順に上位20%ずつ並べた5分位や、閾値ごとに1〜5点を付与)でスコア化し、3軸を組み合わせて最大5×5×5=125のセルに分類します。 R・F・Mはあくまで自社顧客の中での相対順位で決めるのが要点で、Rは日数が「短い」ほど高得点、F・Mは「多い・大きい」ほど高得点となります(Rだけ向きが逆な点に注意)。 スコアの合計や平均を見るのではなく、R5F5M5(優良)やR1F5M5(かつての優良が離脱寸前=休眠優良)といったセルの意味を読み、層ごとに異なる打ち手へつなげます。
適用例
従業員9名・年商1.6億円のB2B向け業務用消耗品ECを運営する「B社」の事例。 過去2年に発注のあった顧客1,000社を、R(最終発注からの日数)・F(2年間の発注回数)・M(2年間の累計発注額)の各軸で金額順・回数順・日数順に上位から5分位(各200社)に分け、1〜5点を付与した。 まず優良層=R5F5M5に該当したのは42社(全体の4.2%)で、この層だけで累計発注額の約38%を占めた(少数の優良が売上の大半を生む=パレートの構図)。 一方で問題は「休眠優良」層=過去はよく買っていた(F4〜5・M4〜5)が最近は買っていない(R1〜2)が68社もいたこと。 ここに気づけたのがRFMの効果で、金額(M)だけ見ていたら優良に埋もれて見逃していた層だ。 B社は休眠優良68社に限定して「以前ご利用の◯◯、在庫は足りていますか」という個別フォロー(DM+架電)を実施。 1社あたり掛けたコストは約2,000円、68社で合計13.6万円。 結果25%の17社が発注を再開した。 この17社の再開後の年間発注額は1社平均144万円・粗利率35%なので、年間売上は17社×144万円=2,448万円、粗利は17社×144万円×35%=856.8万円の上乗せ。 仮に同じ17社を新規で獲得すると1社あたりの獲得コスト(CAC)8万円×17社=136万円かかるところ、休眠掘り起こしは13.6万円と約1/10のコストで同じ社数を積み増せた。 全顧客に一律メールを送るのでなく、RFMのセルごとに「優良は維持・アップセル」「休眠優良は掘り起こし」「新規少額は育成」と打ち手を変えたことが、限られた工数での売上改善につながった。
よくある誤解・つまずき
- R・F・Mの3スコアを単純に足し算・平均して『合計点が高い順に優良』と一列に並べる誤解。 合計12点でも、内訳がR1F5M1(昔よく買ったが今は離脱寸前)とR5F3M4(最近も買う安定顧客)ではまったく意味も打ち手も違う。 RFMの価値は3軸を合算せず、セル(組み合わせ)の意味を読むこと。 特にR(直近性)が低い=離脱サインは、FとMが高くても合計点に埋もれて見逃されやすい。
- RとF・Mの高得点の向きを取り違える誤解。 F(頻度)とM(金額)は数値が大きいほど高得点だが、R(直近性)は最終購入からの日数が短いほど高得点で、向きが逆。 ここを揃えて『大きいほど良い』で機械的に採点すると、最近買った優良客に最低点を付けてしまい層分けが崩れる。
- RFMは絶対値でなく自社顧客の中での相対順位で決まる点を忘れる誤解。 5分位は『上位20%ずつ』の相対区分なので、全顧客が優良化しても必ず下位20%(1点)が生まれるし、逆に全体が低調でも上位20%は5点になる。 他社や過去とスコアを単純比較しても意味がなく、あくまで『今の自社顧客の中での序列と、その層の推移』を読む道具である。
使うタイミング
主に②現状分析で既存顧客の内訳を把握し、④アクションプランで顧客層ごとに施策を出し分けるときに使います。 全顧客に同じ販促を打つのをやめ、優良層は維持・アップセル、休眠優良は掘り起こし、新規少額層は育成、と限られた工数を配分する根拠になります。 前提条件は『同じ顧客が繰り返し購入する購買履歴データがあること』で、ここが最大の適用条件です。 単発・一回きりの購入が中心の業態や、契約が続くサブスク・SaaSでF(購入回数)の概念が薄い場合は、RFMより解約率・リテンション率・リピート率のほうが実態を表すことが多く、無理に当てはめないのが賢明です。 誤用の典型は、(1)3スコアを合算して一列に並べてしまいR(離脱サイン)を埋もれさせること、(2)分析して層を分けただけで満足し、層別の打ち手(施策)に接続しないこと、(3)購買データが数十件しかない立ち上げ初期に5分位を切って、母数不足で層がスカスカのまま結論を出すこと。 RFMは『誰に・どんな順で手を打つか』を決める前段の道具であり、施策とセットで初めて価値が出ます。
