リードタイム 用語
受注や着手から納品・完了までに要する所要日数のこと。 待ち時間の短縮が改善の主戦場になる指標。
起点から終点までの所要日数。実作業と滞留に分けると、短縮の主戦場は「待ち」だと分かる。
説明
リードタイムとは、ある工程の起点(受注・発注・着手など)から終点(納品・完了・入金など)までに実際にかかった所要時間を表す指標です。 平均リードタイム(日)= 対象案件のリードタイム日数の合計 ÷ 対象案件数(単位=日/件)で求め、1件ごとのリードタイムは「終点の日付 − 起点の日付」で数えます。 ここで重要なのは、リードタイム = 実作業に要した時間(正味作業時間)+ 順番待ち・承認待ち・部材待ちなどの滞留時間、という内訳で分解できることです。 多くの現場では滞留時間が全体の過半を占めるため、人を増やして作業を速くするより、待ち行列(滞留)を減らすほうが短縮効果は大きくなります。
適用例
従業員18名・年商2.4億円のB2B向け受託開発SaaS「A社」で、受注から本番リリースまでの受注リードタイムを測った。 直近10案件の所要日数を合計すると920日だったので、平均リードタイム = 920 ÷ 10 = 92日。 内訳を分解すると、実作業(設計・開発・テスト)が案件平均52日、残る40日はレビュー承認待ち・仕様確定待ちなどの滞留時間だった(52+40=92日で内訳が全体と一致)。 人を増やして作業日数を削るのは採用に時間がかかるため、まず滞留の主因である「レビュー承認待ち」を、承認担当を1名増やし着手前チェックリストで手戻りを減らすことで40日→9日へ圧縮。 実作業52日は変えていない。 結果、平均リードタイム = 9+52 = 61日となり、92日→61日(31日短縮、31÷92=約34%短縮)。 作業速度を上げずとも、待ち行列を削るだけで3分の1のリードタイムを縮められた。 短縮により月あたりの納品件数が増え、同じ人員で受注消化力が高まった。
よくある誤解・つまずき
- 『リードタイム=実作業時間』という誤解。 実際には待ち時間・承認待ち・部材待ちなどの滞留が含まれ、現場ではこの滞留が過半を占めることが多い。 作業を速くすること(正味時間の短縮)ばかり狙うと、本丸である待ち行列を見落とし、いくら残業しても納期が縮まない。
- 人を増やせば必ず縮む、という思い込み。 ボトルネック(全体の処理能力を決めている1工程)でない所を増員しても、リードタイムは1日も縮まず仕掛かりの山が増えるだけ。 どの工程が詰まっているかを特定せずに増員するのは、資源の分散=失敗パターン。
- 平均リードタイムだけを見て安心する誤解。 平均が61日でも、一部の案件が150日かかり大半は40日、というばらつき(分布)が隠れることがある。 平均に加え、最長値や『◯日以内に何%納品できたか(定時遵守率)』も併せて見ないと、顧客が実感する遅さを取りこぼす。
使うタイミング
②現状分析で自社の業務プロセスをバリューチェーンや工程図に並べ、「どこが詰まって納品・提供が遅れているか」を数字でつかむ場面で使うのが基本です。 受注は取れているのに納品が追いつかない、見積提出や返信が遅く失注する、といった“流れの詰まり”を疑うときに測ります。 ④アクションプランではリードタイム短縮を目標KPIに据え、⑤振り返りで実績を追う使い方が有効です。 誤用条件=工程を可視化する前に平均リードタイムだけを眺めても、どこを直せばよいか分からず改善につながりません(先に実作業時間と滞留時間へ分解する)。 また、価値の中身や『誰に何を売るか』という戦略の方向性を決める場面では役割外で、そこは3C・SWOT・バリュープロポジションが担います。 リードタイムはあくまで“決めた流れを詰まりなく速く回す”ための実行・オペレーション指標です。
