DAU・MAU(利用者数) 用語
1日の利用者数(DAU)と1カ月の利用者数(MAU)。 両者の比で定着度(習慣化)を測る継続系の指標。
1日の利用者数と1か月の利用者数の比で、習慣化の度合いを測る。
説明
DAU(Daily Active Users)は「ある1日にサービスを利用した重複を除いた人数」、MAU(Monthly Active Users)は「直近30日間に利用した重複を除いた人数」で、単位はいずれも人。 両者の比で定着度(スティッキネス)を測り、計算式は DAU/MAU比(%) = 期間平均DAU(人) ÷ MAU(人) × 100 で、分子=1日あたり平均利用者数、分母=同月のユニーク月間利用者数、結果は0〜100%の比率。 値が高いほど「月に来る人が毎日のように来ている=習慣化している」ことを示し、目安として比率20%は平均的な利用者が月に約数日、50%超は平均的な利用者が月の半分近くの日に来ている(強い習慣化)水準を意味する。 「アクティブ(利用した)」の定義(ログインだけか・主要機能を1回使ったか等)を先に固定しないと数値がぶれる点に注意する。
適用例
従業員20名・B2B向けクラウド勤怠管理SaaS「A社」。 ある月のMAU(月内に1回以上ログインしたユニーク利用者)=1,200人。 同月の1日あたり平均DAU=240人。 DAU/MAU比 = 240 ÷ 1,200 × 100 = 20%。 稼働日を月22日とすると、平均的な利用者は月に 0.20×22 ≈ 約4.4日しか来ておらず、「毎日打刻するはずの勤怠ツール」としては習慣化が弱いと分かる。 そこで打刻リマインド通知と初回オンボーディングを改善したところ、MAUは1,200人のまま、平均DAUが360人に増加。 DAU/MAU比 = 360 ÷ 1,200 × 100 = 30%(利用者は月 0.30×22 ≈ 約6.6日の稼働)。 新規獲得(MAU)を1人も増やさず、既存利用者の来訪頻度だけで定着度を20%→30%へ改善できた例。 ここで仮にキャンペーンでMAUが1,800人へ急増しDAUが変わらず360人なら、比率は 360 ÷ 1,800 × 100 = 20%へ逆に低下し、「集めたが定着していない」状態が数字に表れる。
よくある誤解・つまずき
- DAU/MAU比が高いほど良い、と一律に考える誤解。 適正値は利用頻度の性質で変わる。 毎日使う勤怠・チャットツールは50%超を狙う一方、月次の請求・決算ツールや週1利用の分析ツールは本来10〜20%が正常で、そこに毎日利用の基準を当てると健全な事業を『定着が悪い』と誤診する。 自社が『どの頻度で使われるべきか』を先に決めてから比率を読む。
- DAUとMAUを足し引きできる同じ人数だと誤解する落とし穴。 MAUは月内のユニーク人数(同一人物が何日来ても1人)、DAUは日ごとのユニーク人数を平均した値で、母集団が違う。 30日ぶんのDAUを単純合計してもMAUにはならない(延べ利用日数になる)。 だからDAU/MAU比は『延べ回数の比』ではなく『月間利用者のうち平均何割が毎日来るか』の定着度指標として読む。
- 『アクティブ』の定義を決めずに他社と比較する誤解。 ログインしただけをアクティブと数えるか、主要機能を1回使った人だけを数えるかで、同じサービスでもDAU・MAUは大きく変わる。 定義を固定せず外部のベンチマークや競合の公表値と比べると、比較そのものが成立しない。 自社内で定義を1つに固定し、時系列の変化(先月比・施策前後)で見るのが実務的に正しい使い方。
使うタイミング
現状分析(②)で自社サービスの定着・習慣化の実態を把握するとき、および実行・振り返り(⑤)で改善施策(オンボーディング・通知・機能追加)の効果を継続的にモニタリングするときに使う。 特に、新規獲得(MAU増)は伸びているのに売上や継続率が伴わない場合、DAU/MAU比の低下が『集めても定着していない』ボトルネックを可視化してくれる。 誤用条件=(1)利用頻度が本来低いサービス(月次・季節利用)に毎日利用の基準を当てて判断すること、(2)『アクティブ』の定義を固定せず期間や集計方法を変えたまま前月比を語ること、(3)DAU/MAU比だけを追い、解約率(churn-rate)や継続率(retention-rate)・売上系指標と切り離して単独評価すること。 定着度は継続系・売上系の指標と組み合わせて初めて経営判断に使える。 ローンチ直後で利用者が数十人規模の段階では、数人の増減で比率が大きく振れるため参考値にとどめる。
