ブルーオーシャン 用語
既存の競争が激しい市場を避け、競争のない未開拓の市場を新たに切り拓く戦略発想のこと。
競合と同じ軸で競わない。要素を取り除き・減らし・増やし・付け加えて、価値曲線の形を変える。
点線=業界の標準(レッドオーシャン)、実線=自社。業界の常識とされてきた要素をERRCの4つの問いで見直し、価値を高めながらコストを下げる。
説明
ブルーオーシャンとは、多数の企業が同じ土俵で価格や機能を競い合う既存市場(レッドオーシャン)に対し、まだ競争相手がいない未開拓の市場空間を指す戦略用語です。 要点は「競争に勝つ」のではなく「競争そのものを無意味にする」こと。 顧客にとっての価値を高めながら同時にコストを下げる「バリューイノベーション」を軸に、業界の常識とされてきた要素を見直して新しい需要を生み出します。 実務では、業界の競争要素を洗い出して「取り除く・減らす・増やす・付け加える」を検討するERRCと組み合わせて具体化するのが定番です。
適用例
従業員6名の会計事務所を例に考えます。 この地域には価格と対応スピードで横並びに競う税理士が20社ひしめき、月額顧問料は平均3.0万円まで下がっていました(レッドオーシャン)。 1件あたりの原価は1.2万円で、粗利は1.8万円でした。 そこで同事務所は業界標準の「対面訪問」「紙帳簿の記帳代行」という手間のかかる要素を減らし、代わりに「クラウド会計の初期設定」「経営者向けの資金繰りダッシュボード」を付け加えます。 これにより月額を4.5万円へ引き上げ、既存の税理士に不満を持つIT志向の若手経営者という新しい顧客層を獲得しました。 新サービス提供で原価は1.6万円へ0.4万円増えますが、値上げ幅1.5万円がそれを上回るため、1件あたりの粗利は1.8万円から2.9万円へ約1.6倍に伸びます。 単純な値下げでは決して届かなかった需要を、価値の組み替えで開拓した例です。
よくある誤解・つまずき
- 「まだ誰もやっていない全く新しい市場を探すこと」だと誤解されがちですが、本質は既存の顧客価値を組み替えて新需要を生むことにあり、無人の荒野を探す作業ではありません。 既存事業の延長線上でも実現できます。
- 「差別化=ブルーオーシャン」と混同されますが、通常の差別化は価値を高める代わりにコストも上がります。 ブルーオーシャンは価値向上とコスト削減(または原価増を上回る値上げ)を同時に狙い、価値とコストの両立を目指す点が決定的に違います。
- 一度切り拓けば安泰だと思われがちですが、有望な市場には模倣者が参入し、時間とともにレッドオーシャン化します。 青い海は永続せず、継続的な再構築が必要です。
使うタイミング
現状分析から戦略方針を組み立てる工程で、既存市場での消耗戦を避けたいときに使います。 5Forcesや3Cで「競争が激しく差別化しにくい」と判明した局面が典型的な出番です。 実行にはERRC(取り除く・減らす・増やす・付け加える)で競争要素を具体化します。 ただし、価値の組み替えを伴わない単なる隙間狙いや値下げをブルーオーシャンと呼ぶのは誤用です。 また新市場は需要の裏付けが不確実なため、思い込みで飛び込まず小さく検証してから広げるのが安全です。
