認知率・想起率 用語
ある市場の顧客のうち、自社の商品やブランドを「知っている」「思い出せる」人の割合を測り、認知の広さと強さを把握する指標。
知っている人の割合(認知率)と、ヒントなしで思い出せる人の割合(想起率)。広さと強さをセットで見る。
説明
認知率・想起率は、狙う市場の顧客のうち、どれだけの人が自社ブランドを「知っているか(認知)」「思い出せるか(想起)」を測る指標です。 認知率=ブランド名を知っている人数 ÷ 調査対象人数 ×100(単位:%)で計算し、これは選択肢を見せて「知っているものを選んでください」と尋ねる助成想起(補助あり認知)で測ることが多い指標です。 想起率は補助なし想起で測り、想起率=ヒントなしで自社を挙げた人数 ÷ 調査対象人数 ×100(単位:%)で計算します。 とくに「このカテゴリーで思い浮かぶブランドは?」と聞いて最初に名前が挙がる割合を第一想起率(トップ・オブ・マインド)=最初に自社名を挙げた人数 ÷ 調査対象人数 ×100(単位:%)と呼びます。 認知率は「知られている広さ」、想起率は「買う場面で思い出される強さ」を表し、購買はまず思い出されることから始まるため、両者はセットで見る必要があります。
適用例
従業員25名のB2B向け勤怠管理SaaSを提供するA社が、狙う市場(従業員50〜300名の中小企業の総務・人事担当者)400人に調査した例。 「知っているサービスを一覧から選んでください」(助成想起)でA社を選んだ人が92人 → 認知率=92 ÷ 400 ×100=23.0%。 「勤怠管理サービスで思い浮かぶ名前を挙げてください」(補助なし想起)でA社を書けた人は36人 → 想起率=36 ÷ 400 ×100=9.0%。 うち最初にA社を挙げた人は12人 → 第一想起率=12 ÷ 400 ×100=3.0%だった。 ここで問題は「知っているのに思い出せない」層の大きさで、認知しているのに補助なしで想起できない人=92人−36人=56人(認知者の56 ÷ 92=60.9%)が抜け落ちていた。 A社は半年かけて業界メディアへの寄稿と導入事例発信を集中し、再調査では認知率23.0%→29.5%(118 ÷ 400)、想起率9.0%→14.0%(56 ÷ 400)へ上昇。 認知の伸び(+6.5ポイント)以上に想起の伸び(+5.0ポイント)が効き、資料請求からの商談化率も4.1%→6.8%へ改善した。 単に「名前を広げる」のではなく「買う場面で思い出させる」ことが受注に効いた典型例。
よくある誤解・つまずき
- 「認知率が高い=売れる」と思い込む誤解。 認知は知られている広さにすぎず、買う場面で思い出される(想起)・良い印象を持たれる(好意)まで進まないと購買にはつながらない。 認知率だけを追うと『名前は知られているのに検討候補に入らない』状態を見逃す。
- 認知率と想起率を混同する誤解。 認知率は選択肢を見せて答えてもらう助成想起、想起率はヒントなしで名前を挙げてもらう補助なし想起で測り、測り方が違えば数字も大きく変わる(同じブランドでも助成想起80%・補助なし想起20%は珍しくない)。 どちらの方式で測ったかを明記しないと、他社比較も前後比較も意味をなさない。
- 少人数の身内アンケートで「認知率50%」と喜ぶ落とし穴。 既存顧客や取引先に聞けば当然高く出る。 測るべきは『まだ買っていない狙う市場の人』の中での割合であり、対象者の選び方(サンプル)を誤ると実力を過大評価してしまう。
使うタイミング
本サービスの5プロセスでは、主に②現状分析で「自社は市場でどれだけ知られ・思い出されているか」の現在地を測る場面と、⑤実行・振り返りで施策前後の変化を追う場面で使います。 とくに広告・コンテンツ・PRなど『すぐ売上に出ないが将来の指名買いを作る』投資の効果は、売上だけでは測れないため、認知率・想起率を先行指標として置くのが有効です。 使いどころの注意は、(1)測る対象を必ず「狙う市場のまだ買っていない層」にすること、(2)助成想起か補助なし想起かの測り方を固定して前後・他社を比較すること、(3)認知率・想起率だけで完結させず、好意度や指名検索、最終的な商談化・受注率とつなげて見ること。 単発の数字を追うだけで施策の意思決定に接続しないのが最大の誤用で、逆に受注に直結しやすいのは『認知はあるが想起が弱い層』を特定し、そこを埋める施策に絞ったときです。
