戦略ファシリテーター

ポジショニング 用語

ポジショニング

狙う顧客の頭の中で「○○なら、この会社」と真っ先に思い出される独自の立ち位置を、競合と重ならない一言で定めること。

狙う顧客の頭の中に「この分野なら、この会社」という独自の枠を作る。勝負の場は自社の会議室でなく、顧客の記憶と認識の中。

ポジショニングの3要素。狙う顧客、その顧客の課題、競合との違い狙う顧客○○な人がその顧客の課題△△したいとき競合との違い□□なら一番3点がかみ合った一文『○○な人が△△したいとき、□□なら一番』に凝縮できて初めて機能する

STPの最後の「P」。「良い会社なのに違いが伝わらない」「商談が毎回価格勝負になる」と感じたときが検討のサイン。

説明

ポジショニングとは、狙う顧客の頭の中に「この分野なら、この会社(商品)」という独自の枠を作り、競合と横並びにならない立ち位置を一言で定めることです。 あくまで勝負の場は自社の会議室ではなく「顧客の記憶と認識」の中であり、いくら自社が「うちは違う」と思っても、顧客がそう認識していなければポジショニングは成立していません。 STP(市場を細分化し→狙う層を選び→立ち位置を定める)の最後の「P」にあたり、狙う顧客・その顧客が抱える課題・競合との違いの3点がかみ合った一文(『○○な人が△△したいとき、□□なら一番』)に凝縮できて初めて機能します。 5プロセスでは②現状分析で3C・STP・差別化と連動して立ち位置を見つけ、③戦略の方針策定でその立ち位置を軸に価値提案・価格・売り方を一本の筋で揃えます。

適用例

従業員22名・地方で税理士向けクラウド記帳SaaSを提供するB2Bベンダーの例。 当初は「高機能・低価格・サポートも充実」と全部を訴求していたが、これは大手も同じことを言っており顧客の記憶に何も残らず、無料トライアルからの有料転換率は8%、月商は約120万円で頭打ちだった。 そこで狙う顧客を「ITに不慣れな1〜3名の小規模会計事務所」に絞り、その最大の悩みが『毎年の法改正への対応と、繁忙期の入力工数』だと特定。 競合の大手が手薄なこの一点に立ち位置を定め、ポジショニングを『法改正を全部おまかせできる、小さな会計事務所のための記帳SaaS』という一言に凝縮した。 訴求・価格(月4,800円→専任サポート込み)・オンボーディングをこの一文に合わせて作り直した結果、狙った層に「法改正ならここ」と記憶され、半年で有料転換率が8%→19%、1社あたり月間平均収益(ARPA)が3,200円→4,800円へ上がり、月商は約120万円→約310万円に拡大した(払っている事務所数=月商÷ARPAで、約375社→約646社に相当)。 ポイントは、全方位の訴求をやめ、顧客の頭の中で1つの言葉と結びつく位置に絞り込んだこと。

よくある誤解・つまずき

  • 「ポジショニング=ポジショニングマップ(2軸の図)を描くこと」だという誤解。 マップは立ち位置を探すための道具の一つにすぎず、ポジショニングの本質は『顧客の頭の中でどんな一言と結びつくか』を定めること。 図がきれいでも、顧客がその立ち位置を覚えていなければ成立していない。
  • 「高品質・低価格・親切」のように誰でも言える言葉を立ち位置にしてしまう落とし穴。 競合も同じことを言えるため顧客の記憶で区別されず、結局は価格勝負に逆戻りする。 競合が言えない・言わない一言に絞ってはじめて立ち位置になる。
  • 「良いものを作れば、立ち位置は自然に伝わる」という誤解。 ポジショニングは自社が決める前に、まず顧客がどう認識しているかの現状を確かめる必要がある。 狙う立ち位置と、顧客が実際に抱いている認識のズレを埋める作業をしないと、独りよがりの宣言で終わる。

使うタイミング

②現状分析で3C・セグメンテーション・ターゲティングを済ませ「誰に売るか」の輪郭が見えた後、③戦略の方針策定へ橋渡しする場面で使うのが最適です。 狙う顧客や競合の解像度が低いまま先に立ち位置を宣言すると、顧客の実感とズレた机上の空論になります(早すぎる失敗)。 逆に、商品・価格・広告メッセージをすべて固めてから立ち位置を考え直すと手戻りが大きく、図や資料が「事後の説明」で終わります(遅すぎる失敗)。 「良い会社なのに違いが伝わらない」「商談が毎回価格勝負になる」と感じたときが検討のサイン。 ただし競合が実質いない完全な新市場や顧客が1社だけの受託事業では、立ち位置の宣言より先に顧客課題そのものの深掘りを優先すべき場面もあります。

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