戦略ファシリテーター

AISAS 用語

アイサス

検索・共有時代の購買行動を注目・興味・検索・行動・共有の5段階で捉え、買った後の情報拡散まで含めて設計する考え方。

検索して裏を取り、買った後に共有する。SearchとShareは測る指標ではなく、設計する対象。

AISASの図。注目、興味、検索、行動、共有の5段階。検索と共有を強調A注目AttentionI興味InterestS検索Search自分で裏を取るA行動Action購入・申込S共有Share口コミ・投稿

Search段階では検索して出てくる情報(自社サイト・比較記事・レビュー)を、Share段階では発信したくなる仕組みを、用意しているかを問う。

説明

AISASとは、消費者が商品を知ってから買い、さらにその体験を他人に広めるまでの心の動きを、Attention(注目)→Interest(興味)→Search(検索)→Action(行動=購入・申込)→Share(共有=口コミ・投稿)の5段階で捉える購買行動モデルです。 テレビ広告で記憶させて店頭で買わせる時代のAIDMA(記憶=Memory中心)に対し、消費者が自分で「検索」して裏を取り、買った後にSNSや口コミサイトで「共有」する、というインターネット以降の行動を反映している点が特徴です。 ここでのSearchとShareは指標というより設計の対象で、Search段階では検索して出てくる情報(自社サイト・比較記事・レビュー)を、Share段階では買った顧客が発信したくなる仕組みを、意図的に用意しているかを問います。 なお5段階の各所での取りこぼしを実人数と割合で測るのは営業ファネルの役割で、AISASはどの段階に手を打つべきかの当たりをつける地図として使います。 一般に知られる代表的なモデルですが、提唱者や発表年には諸説があります。

適用例

従業員20名・年商2.5億円のB2B向け経費精算SaaS(初期費用なし・月額3万円)を提供する企業の例。 AISASの各段階に月間の実データを当てはめて現状を診断した。 Attention(広告・記事で自社を知った推定接触)10,000→Interest(サイト訪問)800→Search(会社名やサービス名で指名検索し再訪・比較)240→Action(無料トライアル申込)48→そのうち有料契約12社。 段階間の割合はInterest→Search240÷800=30%、Search→Action48÷240=20%、Action(申込)→契約12÷48=25%、全体の訪問→契約は12÷800=1.5%だった。 ここで弱点はSearch→Actionの20%にあると分かった。 理由は「指名検索したときに、公式サイトより先に古い比較記事や情報の薄いページが表示され、確信が持てず離脱している」ことだった。 そこでSearch対策として指名検索で必ず自社の導入事例ページが上位に出るよう整備し、Share対策として契約後の顧客に業種別の活用事例インタビュー投稿を依頼した。 3か月後、Search→Actionが20%→30%へ改善し、トライアル申込は48→72件(240×0.30)、その先の25%を据え置くと有料契約は12→18社(72×0.25、全体1.5%→2.25%)に増えた。 1社あたりの生涯売上(LTV=月額3万円×粗利率0.9×平均継続24か月)を約65万円とみると、増えた6社×65万円=約390万円の生涯価値が積み上がる計算で、追加コストは事例ページ制作と謝礼のみだった。 買った顧客のShare(事例投稿)が次の見込み客のSearch段階の後押しになり、AttentionとSearchを同時に太らせる循環が生まれた点が、AISASで後半2段階まで設計した効果である。

よくある誤解・つまずき

  • AISASを『買うまでの手順』と捉える誤解。 最大の眼目は最後のShare(共有)で、買った顧客の口コミ・投稿が次の見込み客のSearch段階を後押しし、広告費をかけずにAttentionを生む循環にある。 Actionで線を切ると、この最も費用対効果の高い後半2段階を丸ごと捨てることになる。
  • AISASは万能で全商材に当てはまる、という誤解。 消費者が自分で調べて共有する前提のモデルなので、指名検索も口コミも起きにくい低関与・衝動買いの商材や、逆に検索より人的営業が主役の大型B2B案件では、SearchやShareの重みが実態と合わないことがある。 自社の顧客が本当に検索・共有しているかを確認してから使う。
  • AISASの段階を並べれば改善点が分かる、という誤解。 AISASはどの段階が怪しいかの『当たり』をつける地図であって、各段階で何%を取りこぼしているかの数値診断は営業ファネル、止まる理由の深掘りはN1インタビューやカスタマージャーニーが担う。 モデル単体で施策を決めると根拠の薄い打ち手になりやすい。

使うタイミング

主に②現状分析と③戦略の方針策定で、集客から購入後の拡散までの導線を俯瞰する場面で使います。 とくに「検索したときに自社が見つからない・弱い」「良い商品なのに口コミが広がらない」と感じるとき、SearchとShareという後半2段階に光を当てられる点で有効です。 早すぎる失敗=狙う顧客像(ペルソナ・セグメント)が定まっていない段階で使うと、誰の検索・共有行動を想定しているのか曖昧になり、当たり障りのない一般論に終わります。 まず顧客を1つに絞ってから当てはめること。 遅すぎる失敗=広告やチャネル(4P)を決め切ってから後付けで当てはめると、正当化の道具になり、本来直すべきSearch・Shareのズレを是正できません。 誤用条件として、自社の顧客が実際には検索も共有もほとんどしない商材にAISASを機械的に当てはめると打ち手を誤るため、指名検索数や口コミの有無を先に確認します。 使う順序は、AISASで怪しい段階の当たりをつけ→営業ファネルでその段階の取りこぼしを数値化し→N1インタビューやカスタマージャーニーで理由を掘る、と精度が上がります。

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