実行責任・説明責任 用語
実行責任(R)は施策を実際に進める役割、説明責任(A)は成否を最終的に引き受ける役割で、両者を分けて割り当てる。
実際に進める人(R)と、最後に成否を引き受ける人(A)を分けて割り当てる。Aは原則1タスク1人。
RACI=実行責任R・説明責任A・相談先C・報告先I。タスクが粗いまま振らない(先にWBSで分解)。Aが空欄や複数のまま進めない。
説明
実行責任(Responsible)は、決めた施策を実際に手を動かして進める役割で、1つのタスクに複数人が持つこともある。 説明責任(Accountable)は、そのタスクの成否を最終的に引き受け、遅延や失敗が起きたときに理由と対応を説明する役割で、原則1タスク1人に限る。 両者は別物で、「やる人」と「最後に責任を負う人」を分けて考えるのが要点。 RACIの役割分担では、実行責任がR、説明責任がA、相談先がC、報告先がIと整理され、アクションプランで誰が何をどこまで負うかを1枚で見えるようにする。
適用例
従業員22名・年商3.1億円のB2B向けSaaS「A社」で、解約率を月3.5%→2.0%へ下げる四半期施策を組んだ場面。 「オンボーディング動画の作成」タスクは、実行責任(R)=カスタマーサクセス担当2名(実際に台本を書き撮影する)、説明責任(A)=CS部長1名(納期・品質の最終責任を負い、経営会議で進捗と数字を説明する)と分けた。 当初は「動画は担当がやる」としか決めておらず、Aを置かなかったため、担当2名が互いに相手が仕切ると思い込み2週間着手ゼロで放置。 RACIで部長をAに1人だけ据え直した途端、週次で「何が遅れ・なぜ・いつ挽回するか」を説明する主体が明確になり、公開が3週間前倒し。 逆にAを部長と役員の2人に置いた別タスクでは、両者が相手の判断待ちで意思決定が5営業日滞留した。 Aは必ず1人という原則が数字で効いた例。
よくある誤解・つまずき
- 実行責任と説明責任を同じ意味だと思い、1人にまとめて「担当者=責任者」で済ませる誤解。 手を動かす人(R)と、失敗したときに説明し落とし前をつける人(A)は役割が違う。 多忙な現場担当にAまで背負わせると、遅延時に「誰が判断して挽回するか」が宙に浮き、施策が止まる。
- 説明責任(A)を複数人に割り当てれば手厚くなる、という誤解。 Aは1タスク1人が原則。 2人以上いると互いに相手の判断を待って意思決定が遅れ、失敗時も「自分が最終責任ではない」と責任が拡散する。 手厚くしたいなら相談先(C)・報告先(I)を増やすのが正しく、Aは増やさない。
- 説明責任は「役職が上の人が自動的に負うもの」という誤解。 肩書きではなくタスク単位で決めるのが本質。 社長が全タスクのAになると承認がボトルネック化する。 現場に近いリーダーへ意思決定権ごとAを委ねるべき場面は多く、Aの設計は権限委譲の設計そのものになる。
使うタイミング
主に④アクションプランの工程で、WBSでタスクを洗い出した後、RACIで役割を割り付けるときに使う。 「施策は決めたが誰が最後まで面倒を見るか曖昧」という中小企業のつまずきを防ぐのが狙い。 誤用しやすい条件=1つ目は、タスクが粗いまま役割を振ること。 「新規開拓」のように大きすぎる単位だと実行責任も説明責任も特定できないので、まずWBSで手を動かせる粒度まで分解してから割り当てる。 2つ目は、説明責任(A)を空欄や複数のまま進めること。 Aが不在だと遅延の是正主体が消え、Aが複数だと判断が滞るため、着手前に「このタスクのAは誰か1人」を必ず埋める。 逆に日々のルーティン業務まで全部RACI化すると管理コストが勝つので、成否が事業に効く重要施策に絞って使うのが実務的。
