問題解決の4つのステップ フレームワーク
問題をWhat・Where・Why・Howの順に分解し、原因を特定して打ち手まで導く現状分析の思考フレームワーク。
打ち手(How)から考えない。何が・どこで・なぜ、の順に絞ってから解決策を出す。
Whereで場所を1〜2点に絞り、Whyは「なぜ」を最低3回。属人論で止めず、仕組み・プロセス・情報の欠落に原因を求める。
用途
「売上が落ちた」「解約が増えた」といった漠然とした問題意識を、そのまま対策に飛びつかせず、①What(何が問題か)②Where(どこで起きているか)③Why(なぜ起きるのか)④How(どう解決するか)という4段階に分けて構造化するためのフレームワークです。 多くの経営者は問題を感じた瞬間に「では広告を増やそう」と打ち手(How)から考えてしまいますが、Whereで問題箇所を絞り込みWhyで真因まで掘り下げないと、症状ではなく原因に効かない対症療法に費用を投じてしまいます。 このステップは、限られた経営資源を「効く一手」に集中させるための土台をつくります。
使い方
- What(問題の特定):解決したい問題を「理想の状態」と「現状」のギャップとして一文で言語化する。 『新規受注を月20件にしたいのに直近3か月は月12件』のように、あるべき姿と現実を数字で並べてズレの大きさを確定させる。
- Where(問題箇所の絞り込み):問題を分解して「どこで」起きているかを特定する。 商談ファネル・顧客セグメント・地域・製品ライン・時期などの切り口で数字を分けて眺め、ギャップが最も大きい箇所を1〜2点に絞る(全部を同時に直そうとしない)。
- Why(真因の深掘り):絞り込んだ箇所について『なぜ?』を最低3回繰り返し、表面的な事象の奥にある構造的な原因まで下りる。 ここで『担当者の頑張り不足』のような属人論で止めず、仕組み・プロセス・情報の欠落に原因を求める。
- How(打ち手の立案):特定した真因に直接効く解決策を複数案出し、効果の大きさと実行のしやすさで比較して優先順位をつける。 1つの真因に1つの主要施策を紐づけ、誰が・いつまでに・どの数字をどこまで動かすかを決める。
適用例
従業員18名の勤怠管理SaaS(月額1万2千円・B2B)を運営するA社。 経営者は「解約が増えて困っている」と感じていた。 ■What:理想は月次解約率1.5%以下だが、直近3か月は平均3.8%。 契約社数420社のうち毎月約16社が離脱し、失われるMRRは月あたり約19.2万円(16社×1万2千円)、年換算では約230万円と数字で確定させた。 ■Where:解約企業を「契約期間別」に分解すると、離脱の73%が契約6か月未満に集中。 さらに従業員規模で割ると、20名未満の小規模顧客に解約が偏っていた。 問題箇所を「導入初期×小規模顧客」に絞り込んだ。 ■Why:解約理由アンケートと初期ログを突き合わせ「なぜ?」を繰り返すと、(1)解約企業の68%が初回ログイン後14日以内に打刻設定を完了していない→(2)設定手順が管理者任せで放置される→(3)小規模企業には専任担当がおらず設定に着手する時間がない、という構造が判明。 真因は「顧客の意欲不足」ではなく「初期設定が自走前提の設計」だった。 ■How:真因に直接効く一手として「導入後7日以内のオンボーディング電話(15分・無料)」を小規模顧客に限定して実施。 3か月後、対象セグメントの6か月未満解約率が3.8%→1.6%へ低下し、年約100万円分のMRR流出を抑制した。
よくある誤解・つまずき
- 最大の誤解は『Whyから始める』こと。 真因を掘る前にWhere(どこで)で問題箇所を絞り込んでいないと、全社をまとめて『なぜ売上が落ちたのか』と問うことになり、原因が拡散して打ち手が総花的になる。 掘るのは『絞ってから』が鉄則。
- 『Whyを1回で止める』落とし穴。 『解約が多い=顧客満足度が低いから』で分析を終えると、それは事象の言い換えにすぎない。 満足度が低い仕組み上の理由(例:初期設定が自走前提)まで下りて初めて、費用対効果の高い打ち手が見える。
- 4ステップを『一度やって終わり』の分析だと捉える誤解。 実際はHowを実行した後にWhat(数字が改善したか)へ戻る反復サイクル。 打ち手を打ちっぱなしにせず、次の現状把握の起点にしてこそ改善が回る。
使うタイミング
5プロセスの②現状分析で使います。 最も効くのは「解約率が上がった」「特定製品の粗利が下がった」など、症状はあるが原因が特定できていない具体的な問題を抱えているとき。 逆に、①ビジョンがまだ曖昧で『そもそも何を目指すのか』が定まっていない段階で使うと、What(理想と現状のギャップ)の理想側が空欄になり分析が空回りするため早すぎます。 また、原因がすでに明確で打ち手の合意も取れている場合は、このフレームを回すこと自体が遅すぎ・過剰で、④アクションプランへ進むべきです。 データが全く取れていない立ち上げ初期の事業にも不向きで、まず計測の仕組みづくりが先になります。
