KPT フレームワーク
実行結果をKeep(続ける)・Problem(問題)・Try(次に試す)の3枠で振り返り、次の改善行動へつなげる手法。
続けること・問題・次に試すことの3枠で振り返り、必ず「次の一手」に着地させる。
Problemは人ではなく事象として、数字で挙げる。Tryは2〜3件に絞り、担当・期限・確認指標を付けて次のアクションプランへ。
用途
アクションプランを実行した後、「何がうまくいき、何が課題で、次に何を変えるか」を短時間で言語化し、チーム全員が同じ改善方針を持てるようにするための手法です。 反省会で終わらせず、必ずTry(次の一手)に着地させることで、振り返りを次サイクルの具体的な行動へ橋渡しします。 プロセス⑤振り返りにおいて、成果が出た要因と出なかった要因を切り分け、続けるべき勝ちパターンを残しつつ、問題を放置せず次の実験に変換する役割を担います。
使い方
- Keep(継続)を書き出す:うまくいったこと・続けたい取り組み・良かった仕組みを、成果につながった事実とともに列挙する。 良い点を先に挙げることで場が前向きになる。
- Problem(問題)を書き出す:うまくいかなかったこと・障害・非効率だった点を、人ではなく事象として挙げる。 数字(未達KPI・かかった工数)で具体化する。
- Try(次に試す)を決める:ProblemとKeepを踏まえ、次サイクルで試す具体策を出す。 KeepをさらにTryへ発展させるのも有効。
- Tryを絞って行動に落とす:全部やろうとせず、効果とやりやすさで2〜3件に優先順位づけし、担当・期限・確認指標を付けて次のアクションプランへ引き継ぐ。
- 次回の振り返りで前回Tryの結果を検証する:前回Tryが機能したかをKeep/Problemで評価し、KPTを回転させ続ける。
適用例
B2B向けSaaSを提供する従業員25名のスタートアップ(月次経常収益MRR 800万円)が、第1四半期のアクションプラン「無料トライアルから有料化への転換率を8%→15%に引き上げる」を実行し、四半期末にKPTで振り返った例。 Keep:導入初日にオンボーディング面談を入れた顧客は転換率が22%と全体平均を大きく上回った(面談実施60社中13社が有料化)ため、この面談運用は続ける。 Problem:トライアル登録150社のうち、7日間で一度もログインしなかった41社(27%)の転換率はほぼ0%で、放置が最大の取りこぼしだった。 Try:登録3日後に未ログイン企業へ自動メール+インサイドセールスから架電する仕組みを次四半期に試し、未ログイン率を27%→15%に下げることを狙う。 優先度は「効果大・工数中」と評価し、担当は営業チームリーダー、確認指標を「登録7日目のログイン率」に設定して次のアクションプランへ引き継いだ。
よくある誤解・つまずき
- Problemを個人の責任追及の場にしてしまう誤解。 KPTは犯人探しではなく仕組みの改善が目的で、問題は『誰が悪いか』ではなく『どの事象が成果を妨げたか』で捉える。 人を責める場になると本音が出ず、翌回から実のある問題が挙がらなくなる。
- Keep・Problemを大量に出して満足し、Tryに落とし込まない誤解。 付箋を貼って終わる『やった気になる振り返り』が典型で、Tryに担当・期限・確認指標が付かなければ次サイクルで何も変わらない。 振り返りの成否はTryの実行可能性で決まる。
- Tryを一度に10件も並べてしまう誤解。 あれもこれもと詰め込むと結局どれも中途半端になる。 効果とやりやすさで2〜3件に絞り、次の振り返りで結果を検証できる粒度に留めるのが実務では機能する。
使うタイミング
アクションプランを一定期間実行し、成果(KPIの達成度)や現場の手応えが観測できた段階、つまりプロセス⑤振り返りで使うのが最適です。 早すぎる失敗=実行してデータが溜まる前に振り返ると、KeepもProblemも印象論になり、根拠のないTryしか出ません。 遅すぎる失敗=四半期や年度末までため込むと問題が積み上がりすぎて論点が発散し、記憶も薄れて具体策に落ちません。 1〜2週間や1スプリント、月次など短い定期サイクルで軽く回し続けるのが向いています。 逆に、まだ実行フェーズに入っていない計画段階や、目標そのものの妥当性を問い直すべき局面には不向きで、その場合は目標設計やアクションプランの見直しに立ち返る必要があります。
