戦略ファシリテーター

CSV(共通価値の創造) 用語

シーエスブイ

社会課題の解決を事業の仕組みそのものに組み込み、社会価値と経済価値を同時に生み出す戦略的な考え方。

社会課題の解決と利益を「二者択一」でなく「同時達成」する。社会価値を生む活動それ自体が、売上・コスト削減・競争優位につながる。

CSVの図。利益の一部を還元するCSRと、社会価値の創出自体が利益になるCSVCSR(社会貢献活動)利益の一部を社会に還元寄付・ボランティア事業の外側で行うCSV(共通価値の創造)事業モデルの中核に組み込む社会価値を生む活動が売上・コスト減に社会課題を差別化と収益の源泉に二者択一ではなく同時達成

3つの切り口=製品・市場の再定義、バリューチェーンの生産性向上、事業拠点周辺の地域基盤強化。収益への回収経路を数字で描けなければ体裁づくりになる。

説明

CSV(Creating Shared Value/共通価値の創造)とは、社会課題の解決と自社の利益創出を「二者択一」ではなく「同時達成」する対象としてとらえ、それを事業モデルの中核に組み込む戦略アプローチです。 寄付やボランティアで利益の一部を社会に還元する社会貢献活動(CSR)とは異なり、社会価値を生み出す活動それ自体が売上・コスト削減・競争優位につながる点が本質です。 一般には、製品・市場の再定義、バリューチェーンの生産性向上、事業拠点周辺の地域基盤強化という3つの切り口で語られることが多い考え方です。 5プロセスでは、STEP3(戦略方針)で「誰に・どんな価値を」を定める際に、社会課題を差別化と収益の源泉に変換する視点として機能します。

適用例

従業員30名の業務用食品卸A社が、取引先飲食店から出る食品ロスに着目。 廃棄予定食材を割引価格で買い取り、加工品として別チャネルに販売する仕組みを構築した。 結果、飲食店は廃棄コストを月あたり数万円削減でき(社会価値=ロス削減)、A社は新たな粗利率25%の加工品事業で年商を約8%押し上げた(経済価値)。 B2B SaaSでも同様で、中小の物流企業向けに配車最適化ツールを提供するスタートアップが、CO2排出量の可視化・削減機能を標準搭載。 顧客である物流企業の燃料費を平均7%圧縮しつつ、環境対応を求める荷主への提案材料を顧客に持たせたことで、解約率(churn)を12%から8%へ改善した。 いずれも「社会に良いこと」が同時に売上・継続率という数字で回収されている点がCSVの型である。

よくある誤解・つまずき

  • CSRやSDGsの言い換えだと誤解されやすいが、両者は本質が異なる。 CSR・寄付は利益を生んだ後に社会へ配分する『コスト』だが、CSVは社会課題の解決プロセス自体から利益を生む『収益源』であり、事業戦略の中核に置く点で立ち位置が逆になる。
  • 『良いことをすれば結果的に儲かる』という精神論と混同されがちだが、CSVは因果を戦略として設計するもの。 どの社会課題が自社の売上・コスト・差別化にどう結びつくのかを具体的な数字で示せなければ、単なるスローガンに終わる。
  • 大企業だけの取り組みと思われがちだが、地域や特定業界に密着する中小・B2Bこそ相性が良い。 自社の顧客や地域が抱える困りごとは、そのまま次の事業機会になりうる。

使うタイミング

主にSTEP3(戦略方針)で「誰に・どんな価値を届けるか」を定義する場面で使う。 STEP2(現状分析)で見えた業界や顧客の構造的な課題を、コストや制約としてではなく差別化と収益の源泉として捉え直したいときに有効。 特に、競合と価格・機能で消耗している中小・B2B・SaaSが、社会課題という切り口で独自の立ち位置を築きたいときに機能する。 誤用しやすいのは、社会性を打ち出すこと自体を目的化し、収益への具体的な回収経路(売上増・コスト減・継続率改善など)を数字で描けていないケース。 この場合は戦略ではなく体裁づくりになり、STEP4(アクションプラン)で実行が空回りしやすい。

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