戦略ファシリテーター

成約率 用語

せいやくりつ

商談・案件のうち実際に契約に至った割合を示す指標で、営業の詰まりが提案段階のどこにあるかを数値で特定する物差し。

商談のうち、何割が契約に至ったか。分母はリード全体ではなく、商談・提案に限る。

成約率の図。リード、商談、契約の3段。商談から契約への転換率を強調リードここを分母にすると別の指標商談化率(別の指標)商談・提案分母:商談化・提案した件数成約率=成約件数÷商談件数契約分子:契約した件数

成約率(%)=成約件数÷商談件数×100。まずファネル全体を描き、成約率が最弱リンクだと確認してから深掘りする。上流の商談化率が真の詰まりのこともある。

説明

成約率とは、商談(案件化した見込み客)のうち何割が契約に至ったかを示す指標です。 計算式は「成約率(%)=成約件数 ÷ 商談件数 × 100」で、分子は期間内に契約した件数、分母は同じ期間に商談化・提案した件数、単位はパーセントです。 分母を「リード(見込み客)全体」にすると全体の転換率になり別物になるため、成約率は原則として「商談・提案から契約まで」の一段階に限定して測るのが実務の定義です。 営業ファネルの最終段階の効率を表し、勝ちパターンや失注要因を数値で追跡する起点になります。

適用例

従業員16名・年額課金のB2B向けクラウド在庫管理SaaSを提供するA社の例。 直近1か月で商談(デモ実施後の提案案件)が40件、うち成約が10件だった。 成約率=10 ÷ 40 × 100=25%。 平均受注単価(1社あたり年額)は60万円なので、この月の新規受注額は10件×60万円=600万円だった。 失注20件の理由をヒアリングすると「初期費用の高さ」ではなく「導入後に使いこなせるか不安」が最多と判明。 そこで打ち手を『導入後90日間の伴走サポートを標準提供』の1点に絞ったところ、翌月以降の成約率が25%→35%(=14 ÷ 40 × 100)へ改善し、商談数が横ばいでも成約件数が月10件→14件、新規受注額は14件×60万円=840万円へ増えた(+240万円/月)。 ここで陥りがちな罠も検算しておく。 仮に成約率を25%→35%へ上げるために平均単価を60万円→45万円へ25%値引きしていた場合、受注件数は14件でも受注額は14件×45万円=630万円にとどまり、値引き前600万円からの増加はわずか+30万円。 値引きなしで得た+240万円の8分の1しかない。 成約率という「率」だけを追うと単価を犠牲にして率を買ってしまうため、必ず受注『金額』とセットで見る必要があると分かる。

よくある誤解・つまずき

  • 『成約率は高いほど良い』という誤解。 成約率が異常に高いときは、そもそも入口で確実に決まりそうな案件しか商談化していない(母数を絞りすぎている)サインのことがある。 受注額=商談件数×成約率×平均単価の掛け算なので、率だけ上げても分母(商談数)が細れば受注額は増えない。 率・件数・金額の3点をセットで見る。
  • 分母を取り違える誤解。 成約率(成約÷商談)と、案件化率(商談÷リード)や全体転換率(成約÷リード全体)を混同すると数字が別物になる。 上の例では成約率25%でも、リード200件基準の全体転換率は10÷200=5%にすぎない。 どの段階を分母にしているかを明示しないと、社内で数字が一人歩きする。
  • 値引きで成約率を『買う』落とし穴。 値引きやサービス過剰付与で成約率は簡単に上がるが、単価と粗利を削れば受注金額はむしろ悪化しうる(例では25%値引きで増収がわずか+30万円に縮小)。 率の改善が利益に結びついているかは、平均受注単価・粗利率と必ず突き合わせて判断する。

使うタイミング

戦略づくりの5プロセスのうち②現状分析で、「引き合いはあるのに契約に結びつかない」「提案まで行くのに決まらない」という営業終盤の詰まりを疑う局面で使う。 まず営業ファネル全体を描き、成約率が最弱リンクだと確認できてから深掘りするのが正しい順序(末端の成約率が良好なら、真のボトルネックは商談化率など上流にあることが多く、その場合に成約率を磨いても効果は薄い)。 早すぎる失敗=商談件数・成約件数の実データが無いまま感覚で語ると打ち手を誤る(最低でも直近数か月の件数を数えられる状態が前提)。 遅すぎる・使いどころを誤る失敗=営業増員や広告費追加を決めた後に測ると、詰まった段階を素通りした投資が固定化する。 改善策を評価するときは率だけでなく受注金額・粗利とセットで見て、値引きで率を買っていないかを必ず確認する。

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