戦略ファシリテーター

商売の基本サイクル フレームワーク

しょうばいのきほんサイクル

「知ってもらう→買ってもらう→また買ってもらう」の3段に商売を分解し、どこで客が抜けているかを見抜く現状分析の型。

知ってもらう→買ってもらう→また買ってもらう。どの段階で客が抜けているかを、数字で見つける。

商売の基本サイクルの図。知ってもらう、買ってもらう、また買ってもらうの3段の循環各段階の通過率で詰まりを1つ特定知ってもらう認知・集客買ってもらう初回購入・受注また買ってもらう継続・リピート

売上=集客数×成約率×継続率(またはリピート回数)。一番落ちている段階を1つ特定し、そこだけ深掘りする。

用途

商売の基本サイクルは、事業のお金の流れを「①知ってもらう(認知・集客)→②買ってもらう(初回購入・受注)→③また買ってもらう(継続・リピート)」という誰でも追える3段階に分解し、自社が今どの段階で取りこぼしているのかを特定するための現状分析フレームワークです。 多くの経営者は「売上が伸びない=もっと集客すればいい」と反射的に考えがちですが、実際には「集客はできているのに初回で離脱している」「初回は買われるがリピートされない」など、詰まっている場所は事業ごとに違います。 このサイクルで自社を眺めると、限られた予算と人手をどの段階の改善に投じれば売上インパクトが最大化するかが一目で分かります。 売上を「集客数 × 成約率 × 継続率(またはリピート回数)」という掛け算に翻訳できるため、感覚論ではなく数字で議論する起点になります。 フレームワークを知らない中小企業経営者が、最初に自社を俯瞰する「地図」として最適です。

使い方

  1. 自社の商売を「①知ってもらう→②買ってもらう→③また買ってもらう」の3段階に当てはめ、それぞれで実際に何をしているか(広告・紹介・営業・アフターフォロー等)を書き出す。
  2. 各段階の「入口の数」と「次に進んだ数」を過去3〜12か月の実データで拾う(例:問い合わせ100件→受注20件→2回目購入8件)。 数字が無ければ概算でよいので必ず数値化する。
  3. 段階ごとの通過率(成約率・リピート率)を計算し、業界の肌感や過去の自社ベストと比べて「一番落ちている段階」を1つ特定する。
  4. その詰まっている段階だけに絞り、原因を「なぜそこで抜けるのか」で深掘りする(値段・タイミング・接客・商品・フォロー不足など)。
  5. 改善策を1つ決めて小さく試し、翌月に同じ3段階の数字を測り直して、詰まりが解消したか・別の段階に詰まりが移っていないかを確認する。

適用例

従業員8名の建設業向けクラウド日報SaaSを提供するB2B企業(月額1.2万円/社)が、売上が頭打ちで悩んでいた。 商売の基本サイクルで現状を分解すると――①知ってもらう:Web広告で月間の無料トライアル申込が120件、②買ってもらう:うち有料契約は18件(成約率15%)、③また買ってもらう:契約企業の12か月継続率が55%(=年間で約45%が解約)。 経営者は当初「広告費を倍にして申込を240件に増やす」つもりだったが、サイクルで見ると本当の穴は③の解約だと判明。 試算では、広告倍増(+月30万円)で新規契約は月18→36件に増えるが、継続率55%のままでは1年後に約半分が抜け、追加投資の回収が鈍い。 一方、継続率を55%→75%へ改善(=解約を年20ポイント圧縮)できれば、既存180社のうち年間で約36社の解約を防げ、1社あたり年14.4万円×36社=約518万円の売上流出を止められる計算になった。 そこで広告増額を保留し、導入後30日以内の初期活用サポート(電話オンボーディング)に人を割いた結果、翌四半期の解約率が改善。 「集客を増やす」より「リピートの穴を塞ぐ」ほうが投資対効果が高いと、数字で意思決定できた事例。

よくある誤解・つまずき

  • 「①知ってもらう(集客)を増やせば売上は伸びる」と考えがちだが、②の成約率や③のリピート率が低いままだと、集客への投資はザルに水を注ぐのと同じで回収できない。 伸び悩みの真因は集客ではなく後段にあることが実務では非常に多い。
  • 3段階を『分業する別々の話』だと捉える誤解。 実際は繋がった1本の流れで、たとえば②で無理な値引きや過剰な期待を持たせて受注すると③の解約が増えるなど、前段の質が後段の数字を左右する。 段階を切り離さず全体で見る必要がある。
  • 「うちはBtoBだから(あるいは単発商材だから)③のリピートは関係ない」と飛ばす誤解。 単発商材でも③は紹介・口コミ・再指名という形で必ず存在し、ここを軽視すると最も安く売上を伸ばせる経路を見逃す。

使うタイミング

現状分析(②)の最初のとっかかりとして最も適しており、まだSWOTや3Cのような本格的な分析に入る前、「自社の商売のどこに問題があるのか見当もつかない」段階で使うと効果的です。 逆に使うのが早すぎるのは、①ビジョンがまだ固まっておらず「誰に何を売る事業か」自体が曖昧なとき――サイクルに当てはめる対象が定まらず空回りします。 使うのが遅すぎる(形骸化する)のは、詰まっている段階を1つ特定した後もこの3段階の粗い地図に留まり続けるとき。 詰まりを特定したら、その段階を深掘りするために3CやSWOT、ファネル分析など、より解像度の高い手法へ橋渡しすべきで、基本サイクルはあくまで「入口の地図」として使い切るのが正しい距離感です。

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