戦略ファシリテーター

戦略のピラミッド 用語

せんりゃくのピラミッド

目的・目標・戦略の方針・経営資源の4階層を上から順に整合させ、戦略全体の筋を通す考え方。

なぜ→どこまで→どうやって→何で。上が決まってから下を決め、縦の一本の筋を通す。

戦略のピラミッドの図。目的、目標、戦略の方針、経営資源の4層目的なぜやるのか目標どこまでやるのか戦略の方針どうやるのか経営資源何を使うのか(ヒト・モノ・カネ)上ほど抽象的で変わりにくい下ほど具体的で実行に近い

施策や予算(下位)から議論を始めると、上位との整合が取れず手戻りする。方針や資源配分を決めた直後に、上位まで遡って検算する。

説明

戦略のピラミッドとは、戦略を「目的(なぜやるのか)→目標(どこまでやるのか)→戦略の方針(どうやるのか)→ヒト・モノ・カネ=経営資源(何を使うのか)」という4つの階層で捉え、上位が決まってから下位を決める形で全体の整合性を担保する考え方です。 上の層ほど抽象的で変わりにくく、下の層ほど具体的で実行に近くなり、下位の層はすべて上位の層を実現するための手段として位置づきます。 個々のフレームワーク(SWOTや3Cなど)が「部分」を分析するのに対し、ピラミッドは「なぜ→どこまで→どうやって→何で」という縦の一本の筋が通っているかを点検する全体像として働きます。 上位を飛ばして手段(施策や予算)から議論が始まると、頑張っているのに成果に繋がらない“ちぐはぐな戦略”になりやすい、という失敗を防ぐための構造です。

適用例

従業員30名のBtoB受託開発会社の例。 まず頂点の目的を「下請け脱却=自社の名前で選ばれる会社になる」と定める。 次に目標を「3年で受託売上比率を80%→50%に下げ、自社SaaS売上を年1.2億円まで積む」と数字で置く。 その下の戦略の方針を「特定業界(物流)向けの在庫管理SaaSに絞り、既存受託の顧客基盤を初期チャネルに使う」と決める。 最後にヒト・モノ・カネとして「エンジニア3名を受託から専任移管、初期開発費2,000万円、月200万円のマーケ予算」を割り当てる。 もしこの順序を逆にして「手が空いているエンジニアで何か作ろう(資源起点)」から始めると、目的・目標との紐付けが後付けになり、途中で「そもそも何のためだったか」が崩れる。 ピラミッドは、この上から下への一貫性を各層で1行ずつ言語化して点検するために使う。

よくある誤解・つまずき

  • 組織図やKGI→KPIのツリーと混同されやすいが、別物。 ピラミッドは『目的→目標→方針→資源』という戦略の縦の論理構造であり、部門の指揮系統や指標の分解を表す図ではない。 指標ツリーはこのピラミッドの中の一部(目標層の分解)にすぎない。
  • 『上から順に一度で確定する滝(ウォーターフォール)』だと思い込むのは危険。 現場で資源制約(下位)が判明したら上位の目標を現実的に修正する、という上下の往復は当然あり得る。 ピラミッドが禁じているのは“下位を起点に上位を後付けで正当化する”ことであって、下位からのフィードバックそのものではない。
  • 『きれいなピラミッドの絵を描けたら戦略が完成』という誤解。 図の見栄えではなく、各層の間に『なぜこの目標か→この目的のため』『なぜこの方針か→この目標を最短で満たすため』という因果が言葉で繋がっているかが本質。 層を埋めても隣の層と論理が繋がっていなければ意味がない。

使うタイミング

戦略立案の最上流(ビジョン・目的の設定時)で全体設計図として一度立て、その後は各工程の“検算”に使うのが効果的です。 特に③戦略の方針を決めた直後と、④アクションプラン・経営資源の配分を決めた直後に「この施策・この予算は、本当に上位の目標と目的に繋がっているか」を上位層まで遡って確認します。 逆に、目的・目標がまだ曖昧なまま「まず施策を100個出そう」と資源・打ち手の議論から入る場面はピラミッドの典型的な誤用で、後から上位との整合が取れず作業が手戻りします。 また、抽象度の高い頂点だけを議論して下位に落とさず終わる“絵に描いた餅”も避けるべき使い方です。

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