戦略ファシリテーター

PPM分析(BCGマトリクス) 用語

ピーピーエムぶんせき

複数事業を市場成長率と相対市場シェアの2軸で4象限に並べ、投資と撤退の優先順位を決める手法。

金のなる木で稼いだ資金を、花形と有望な問題児に振り向ける。

PPM分析の図。市場成長率と相対市場シェアで、花形・問題児・金のなる木・負け犬の4象限相対市場シェア(資金の創出力)市場成長率(投資の必要度)花形高成長 × 高シェア投資を続けて地位を守る問題児高成長 × 低シェア伸ばすか撤退かを見極める金のなる木低成長 × 高シェア資金の供給源負け犬低成長 × 低シェア縮小・撤退を検討資金

相対市場シェア=自社シェア÷最大競合のシェア。1.0を超えれば市場リーダー。縦軸は今後の投資必要度、横軸はいまの資金創出力を表す。

説明

PPM分析は、自社が抱える複数の事業や製品を「市場成長率(縦軸)」と「相対市場シェア(横軸)」の2つの軸で配置し、経営資源をどこへ配分するかを判断するフレームワークです。 縦軸は今後の投資必要度、横軸は現在のキャッシュ創出力を表します。 相対市場シェア=自社シェア÷最大競合のシェアで計算し、1.0を超えれば市場リーダー、下回れば追随者と読みます。 4象限は「花形(高成長×高シェア)」「金のなる木(低成長×高シェア)」「問題児(高成長×低シェア)」「負け犬(低成長×低シェア)」と呼ばれ、金のなる木で稼いだ資金を花形と有望な問題児へ振り向けるのが基本の資金循環です。

適用例

B2B SaaS企業が3事業を持つとします。 相対市場シェア=自社シェア÷最大競合シェアで計算します。 (1)勤怠管理SaaS:市場成長率18%、自社シェア12%、最大競合シェア30%→相対シェア0.4。 高成長だがシェア劣位で「問題児」。 (2)給与計算SaaS:市場成長率3%、自社シェア40%、最大競合シェア20%→相対シェア2.0。 低成長だが圧倒的リーダーで「金のなる木」。 (3)人事評価SaaS:市場成長率22%、自社シェア35%、最大競合シェア25%→相対シェア1.4。 高成長かつリーダーで「花形」。 判断:金のなる木の給与計算が生む年間キャッシュ(例:営業利益8,000万円)を、花形の人事評価(拡大投資)と問題児の勤怠管理(シェア奪取の集中投資かつ撤退かの見極め)へ配分する、という資源配分の意思決定ができます。

よくある誤解・つまずき

  • 横軸を「自社の市場シェア(絶対値)」と誤解しがちだが、正しくは相対市場シェア=自社シェア÷最大競合シェア。 同じ20%でも、最大競合が10%なら相対2.0(リーダー)、40%なら相対0.5(追随者)で意味が正反対になる。
  • 「負け犬=即撤退」と機械的に扱うのは誤り。 安定したキャッシュを生み続けたり、他事業の顧客接点・ブランドを支えていたりすることがあり、撤退判断は象限だけで決めない。
  • 単一事業や創業間もない中小企業に無理に当てはめようとする誤用。 PPMは複数事業の資源配分ツールであり、1事業しかなければ配分の余地がなく効果が薄い。

使うタイミング

複数の事業・製品ラインを抱える企業が、限られた資金・人員をどこに集中し、どこを縮小・撤退するかを議論する場面で使います。 本サービスの5プロセスでは②現状分析で事業ポートフォリオの全体像を俯瞰し、③戦略方針で投資・撤退の優先順位を決める橋渡しに有効です。 一方、事業が1つしかない、または市場成長率・相対シェアの数値を客観的に把握できない段階では判断がぶれるため、まず市場規模やシェアの事実確認を先に行うべきです。

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