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コンティンジェンシープラン フレームワーク

コンティンジェンシープラン

アクションプランが前提どおり進まない事態を事前に想定し、発動条件・代替行動・責任者をあらかじめ決めておく代替計画のこと。

「どの数値がどこまで悪化したら」「誰が」「何をするか」を平時に決めておく。有事の意思決定を速くする。

コンティンジェンシープランの3要素。発動条件、責任者、代替行動発動条件トリガー数値としきい値で例:月次解約率が5%超責任者誰が監視する人・宣言する人・実行する人代替行動何をするか通常計画と別建ての予算・人員・手順PDCAやマイルストーンの場でトリガー指標を毎回チェックし、作りっぱなしにしない

対象はリスクマトリクスの上位2〜3件(確率は低いが起きれば致命的)に絞る。発動条件は「売上が計画比−20%」のような客観指標としきい値で。

用途

アクションプラン(④)は「順調に進む」前提で組まれがちだが、現実には主要顧客の離反、キーパーソンの退職、資金ショート、競合の値下げといった想定外が必ず起きる。 コンティンジェンシープランの目的は、そうした事態が起きてから慌てて対応するのではなく、「どの数値がどこまで悪化したら(発動条件)」「誰が(責任者)」「何をするか(代替行動)」を平時に決めておき、有事の意思決定スピードと復元力を高めることにある。 リスクマトリクスで洗い出したリスクのうち「発生確率は低いが起きれば致命的」なものに対する具体的な備えを、実行計画に組み込む役割を担う。

使い方

  1. リスクを特定し優先順位をつける:リスクマトリクスで洗い出したリスクのうち、影響度が大きく計画の成否を左右する上位2〜3件に絞る(全リスクに備えると計画が膨張し形骸化する)。
  2. 発動条件(トリガー)を数値で定義する:「売上が計画比マイナス20%」「月次解約率が5%超」のように、誰が見ても発動可否を判断できる客観指標としきい値を設定する。 曖昧な定性条件にしない。
  3. 代替行動を具体化する:トリガーが引かれたときに取る行動を、通常計画の予算・人員・スケジュールと別建てで用意する。 「広告費を◯万円追加投入」「B案の販路に切り替え」など即実行できる粒度まで落とす。
  4. 責任者と発動プロセスを明確化する:RACIやマイルストーンと連動させ、誰がトリガーを監視し、誰が発動を宣言し、誰が実行するかを決める。 判断者不在が最大の失敗要因。
  5. 定期的にモニタリングし見直す:PDCAやマイルストーンレビューの場でトリガー指標を毎回チェックし、市場環境の変化に応じて条件・行動を更新する。 作りっぱなしにしない。

適用例

B2B向けSaaS(月額制の営業支援ツール、社員18名)が、翌期の年間経常収益(ARR)を8,000万円から1億2,000万円へ引き上げるアクションプランを策定した。 現状は顧客200社(1社あたり平均ARR40万円=8,000万円)で、前提は「新規顧客を月8社獲得・月次解約率2.0%を維持し、顧客300社(=1億2,000万円)へ拡大」。 ここでリスクマトリクスから『大口競合が同等機能を月額3万円→1.8万円へ値下げし、解約が急増する』シナリオを『影響度・大/発生確率・中』と評価し、コンティンジェンシープランを用意した。 発動条件(トリガー)は『月次解約率が基準の2.0%から3.5%を超えた月』。 現状の200社ベースでこの水準を超えると、月の解約が4社から7社へ増え、年間で約36社(=3社×12)多く失い、ARRに換算して1社あたり平均40万円×36社=約1,440万円の毀損リスクが生じる計算のため、しきい値をここに置いた。 代替行動は3段構え:(1)既存顧客の年間一括契約へ2カ月無償で誘導し解約摩擦を高める(想定で解約率を0.8ポイント圧縮)、(2)値下げ追随はせず、競合にない自社の自動レポート機能を訴求する比較資料をカスタマーサクセス経由で全既存顧客へ配布、(3)それでも解約率が4.0%(=月8社)を超えたら、下位プラン(月額1.5万円)を新設して価格帯の穴を塞ぐ。 責任者はカスタマーサクセス責任者がトリガーを毎月1日に確認し、発動可否をCEOへ具申、実行は同チーム3名が担う。 通常計画の販促予算とは別に発動用として年間480万円を確保した。 結果、第2四半期に解約率が3.6%へ上昇したためトリガーが発動され、(1)(2)を即実行、翌四半期に解約率2.4%まで回復し、ARR毀損を約400万円に抑えた。

よくある誤解・つまずき

  • 『リスクを洗い出したリスト』と同じだと思われがちだが、両者は別物。 リスクの一覧化(リスクマトリクス)は“何が起こりうるか”を可視化するだけで、コンティンジェンシープランは“起きたら具体的に何をするか・いつ発動するか”まで決めて初めて機能する。 リストで満足して代替行動を用意していない計画が最も多い。
  • 『あらゆるリスクに備えるほど良い』という誤解。 リスクを網羅しすぎると計画が肥大化し、どれも中途半端になって結局使われない。 影響度が大きい上位数件に絞り、トリガーを明確にした方が実務では発動されやすい。
  • 発動条件を『売上が大幅に落ちたら』のような定性表現で書いてしまう落とし穴。 数値としきい値がないと、有事に“これは発動すべき事態か”の議論で時間を浪費し、備えの意味が失われる。 誰が見ても同じ判断ができる客観指標で書く。

使うタイミング

アクションプラン(④)を作り込む段階で、リスクマトリクスによってリスクの洗い出しと評価を終えた"直後"に着手するのが適切。 早すぎる失敗は、①ビジョンや③戦略方針が固まる前に代替案を作り始め、本筋の計画すら定まらないうちに枝葉のシナリオに時間を取られるケース。 遅すぎる失敗は、想定外が現実に起きてから慌てて代替策を考え始め、意思決定に数週間を要して機会損失や被害が拡大するケース。 また、影響度・発生確率がともに低いリスクにまで精緻なプランを作るのは過剰で、実行段階で放置されるだけなので不要。 上位の致命的リスクに限定し、⑤振り返りのPDCAでトリガー指標を継続監視できる体制とセットで運用する前提のときに最も価値を発揮する。

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